中居問題の根底にフジのキャスティング至上主義 「大物を引っ張り出せるのが偉い」という時代錯誤

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また、いまや渦中の人である松本氏、中居氏のレギュラー番組として2023年に始まった「まつもtoなかい」も、彼らのキャスティングありきで生まれた番組である。この大物タレント2人がMCを務めることで、ゲストからどんな話を引き出せるのか、というのが企画の売りになっていた。

そんなフジテレビのキャスティング至上主義は「大物タレントを引っ張り出せるプロデューサーが偉い」という価値観を生み出す。その考え方は今の時代にはそぐわない。

インターネットが発達してテレビの影響力が落ちている今、重要なのはキャスティング力よりも企画力である。企画が面白ければ人はついてくる。

「顔」だけで見てもらえる時代ではない

「まつもtoなかい」も、大物タレントを並べて鳴り物入りで始まった割には、数字は伸び悩んでいた。今の時代にはきちんと内容のある番組が求められている。タレントの「顔」だけで見てもらえる時代ではない。フジテレビが低迷を抜け出せない理由の1つはそこにある。

今回の騒動も、そのようなフジテレビの古い体質が一因となっている可能性はある。フジテレビがこの未曾有の危機を乗り越えるために必要なのは、問題に誠実に向き合うことだ。

今のフジテレビにも、今回の騒動とは無縁で優秀なスタッフは多くいるし、面白い番組もたくさんある。今回の事件を契機として、問題点を見直し、社会にも視聴者にも真摯に向き合う局に生まれ変わることを期待している。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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