苦境に立つ野村ホールディングス、脱「リーマン」へ転換

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しかも、手数料の6割近くが日本に集中している。国内では2位だが、欧州、米州、アジアでは20位以内にも入っておらず、リーマン効果はここでも見えにくい。

もともとリーマンはゴールドマンやモルガン・スタンレーといったトップクラスの投資銀行からは格下と見られていた。しかも、「頭脳」に当たる米国本社は英バークレイズが先に買収。野村は「手足」の欧州・アジアの社員のみ継承した。世界最大の証券市場である米国は自前で増強すれば「グローバルハウス」として認められるはず--。そう信じて米州の人員は09年3月末の1079人から11年9月末には2537人へ倍増した。

しかし、今のところ海外での評価は十分に上がっているとは言いがたい。むしろ最近は「低下の一途」(外資系アナリスト)とも言われる。

法人部門トップを“解任” 非リーマンを登用か

今後の命運は、12億ドルのコスト削減を本当に収益体質強化に結び付けられるかに懸かっている。

コストが減れば損益分岐点が下がり、利益は出やすくなる。ただ、懸念されるのは戦力ダウンに伴う営業基盤やトップライン(収入)への影響。成績の悪い社員や最前線ではない社員から削減しているとはいえ、欧州では一気に2割以上、社員が減るため、「士気やチームワークへの影響が心配」(元リーマン社員)される。収益基盤まで弱体化してはコスト削減効果が相殺され、逆に長期的なマイナス要因となりかねない。



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