487万円~ワーゲン「新型ティグアン」の◯と✕ 楽しい走りは「目からうろこ」も気になる点も

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パッケージングに秀でるフォルクスワーゲン車だけあって、2680mmのホイールベースを最大限有効に使い、余裕ある後席空間を作り出している。かつ、荷室容量は652リッターに達する。

フラットになる荷室をはじめ、使い勝手の良さも光る(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)
フラットになる荷室をはじめ、使い勝手のよさも光る(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

個人的にどう評価すべきか、やや迷いがあるのが車内のダッシュボードだ。ここだけは、素直に「◯」と言えない。物理的なスイッチがほとんどないからだ。

アナログに戻す“前進”も必要だ

エンジンのオン/オフスイッチ、オーディオのオン/オフとボリューム調節をかねたダイヤル(これがもっとも大きい)、それに電気式パーキングブレーキの作動スイッチだけ。残りのほとんどは、大きなタッチスクリーンで行う。

タッチスクリーンのサイズは、なんと15インチ(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)
タッチスクリーンのサイズは、なんと15インチ(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

「ID.シリーズ」と呼ばれるバッテリー駆動EV(日本にはID.4が導入されている)では、今後、テスラのように車体を一体成型してしまうギガキャスト製法を検討中とされているが、操作系をほとんどモニター内に入れてしまうデザインまで、テスラにならう必要があるのかどうか。

むしろ、フォルクスワーゲン好きとしては、ディーター・ラムズがディレクターを務めていた時代のブラウンの家電とか、デジタルを含めたライカのカメラのように、物理的な操作感覚が欲しい。

ティグアンはドライビングフィールが良く、身体で感じる魅力をしっかり持っているクルマなだけに、車内でもハプティック(触覚)な技術でもって、ドライバーとクルマがつながっていられたら……と思うのだ。

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何もかもをディスプレイ上で操作させるのではなく、ブラインドタッチのできるアナログな物理的スイッチを見直す。これはけっして“退行”でなく、クルマの未来への“前進”だと私は信じている。

【写真】15インチタッチスクリーンをはじめ新型「ティグアン」のディテールをチェック!(57枚)
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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