パッケージングに秀でるフォルクスワーゲン車だけあって、2680mmのホイールベースを最大限有効に使い、余裕ある後席空間を作り出している。かつ、荷室容量は652リッターに達する。
個人的にどう評価すべきか、やや迷いがあるのが車内のダッシュボードだ。ここだけは、素直に「◯」と言えない。物理的なスイッチがほとんどないからだ。
アナログに戻す“前進”も必要だ
エンジンのオン/オフスイッチ、オーディオのオン/オフとボリューム調節をかねたダイヤル(これがもっとも大きい)、それに電気式パーキングブレーキの作動スイッチだけ。残りのほとんどは、大きなタッチスクリーンで行う。
「ID.シリーズ」と呼ばれるバッテリー駆動EV(日本にはID.4が導入されている)では、今後、テスラのように車体を一体成型してしまうギガキャスト製法を検討中とされているが、操作系をほとんどモニター内に入れてしまうデザインまで、テスラにならう必要があるのかどうか。
むしろ、フォルクスワーゲン好きとしては、ディーター・ラムズがディレクターを務めていた時代のブラウンの家電とか、デジタルを含めたライカのカメラのように、物理的な操作感覚が欲しい。
ティグアンはドライビングフィールが良く、身体で感じる魅力をしっかり持っているクルマなだけに、車内でもハプティック(触覚)な技術でもって、ドライバーとクルマがつながっていられたら……と思うのだ。
何もかもをディスプレイ上で操作させるのではなく、ブラインドタッチのできるアナログな物理的スイッチを見直す。これはけっして“退行”でなく、クルマの未来への“前進”だと私は信じている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら