中居騒動で「示談金の多寡」を論じるのが不毛な訳 物事の本質を見失う可能性すらある

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現状で村上誠一郎総務相は、「放送番組にどのようなタレントを起用するかを含め、放送事業者の自主自律を基本とする放送法の枠組みの下、放送事業者において検討し、自主的に判断されるべきもの」(1月10日の会見)との立場から、大臣としてのコメントを控えているが、もし業界全体の問題となれば、異なる対応が求められるだろう。

メディアも、より本質的な追及が必要になっている

こうした事態の変化に、「9000万円」を見出しに取るメディア各社は、どう適応していくか。

疑惑の規模が大きくなる一方で、それでもなお、「個人の解決金」を前面に押し出し続けると、「中居ひとりに押しつけている」となりかねない。

もちろん(報道が事実なのであれば)擁護しているわけではない。フジテレビや中居さんには、しかるべき対応が必要だと感じるのだが、そこだけを近視眼的に見てしまうと、物事の本質を見失ってしまうのではと心配なのだ。

確かに「9000万円」は、一時的なPV(ページビュー)につながるだろう。閲覧数の稼ぎ時だからと、乱発したくなる気持ちは、同業者としてよくわかる。しかしながら、時々刻々と状況が変化するのが、ネット社会の醍醐味だ。

状況の変化に合わせて、見出しも内容もシフトしていく。そのためには、目先のPVを追うのではなく、中長期的に見通して、時に「稼げる角度」を捨てる判断も重要だ。中居さんのスキャンダルを受けて、意識改革が求められているのは、ネットメディアも同じなのだ。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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