中居騒動で「示談金の多寡」を論じるのが不毛な訳 物事の本質を見失う可能性すらある
フジ系列のサンケイスポーツが1月15日に報じているということは、ほぼ確実なのだろう。
中居さんの芸能活動が、今後どうなるのか注目をあびるなか、ネットユーザーの論点として挙げられがちなのが、解決金として支払われたとされる「9000万円」だ。これが高いか、低いかといった論争が、日夜行われている。
Xの投稿を見ると、過去の芸能人によるケースと比較しつつ、「異例の高額ぶりだ」との評価が見られる。また一般的な示談額は、数百万円程度であるとして、社会的地位の高さに言及する内容もあった。しかし、これらの反応は、不毛でしかないように感じられる。
そもそも「適正額」を、どのように判断するのか。どのような性的行為に及んだか、詳細は公表されておらず、過去の判例と照らし合わせることは難しい。
精神的苦痛を訴える被害者側が、現時点で自ら語ることは考えにくく、また中居さん側にも守秘義務が存在するであろうことから、被害の金銭換算は容易ではない。
もうひとつの算定基準として、被害者が仕事を含めた生活の見直しを要したことに対しての機会損失がある。しかしこちらも、被害者が「芸能関係者」と、報道において職業や経歴が明かされていない以上、算出は難しいだろう。
なお一部SNSでは、状況証拠から被害女性の氏名や前職を推測して、その人物である前提のもとで、この事案に触れている投稿もある。ただ、あくまで現状の報道ベースでは、「芸能関係者の20代女性」でしかないことに留意が必要だ。
なぜメディアは「9000万円」を使い続けるのか
このように、解決金の金額をことさらに取り上げる必要はないと考えられるが、雑誌電子版を含むメディア各社は「中居正広9000万円トラブル」を見出しに取った記事を乱発している。
しかし、それらの多くは、メインに解決金を据えた内容ではなく、また、その多寡を論じるものでもない。あくまで「事案名」としてタイトルに盛り込んでいるだけだ。
では、なぜ「9000万円」を使い続けるのか。ネットメディア編集者として10年以上の経験から考えると、「目を引く見出しだ」と感じる。まず浮かぶ理由は、「解決金の金額が一般的に知られておらず、いまなお目新しさを保っている」可能性だ。
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