禅僧が勧める「起きてすぐ不安が消える」朝の習慣 ジョブズが毎朝鏡の前でしていた「問いかけ」

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ひるがえって、あなたはどうでしょう。あなたには、「本来の自己」と向き合う時間があるでしょうか

心のなかにいる仏様は、私たちが生きていくための拠り所であり、心強い相談相手でもあります。あなたの心のなかにいる仏様は、今のあなたの生き方を見て何を思うでしょう

人生がつらいとき、苦しいときは、何よりもまず、自分の心のなかの耳に澄ませることです。誰かの意見の代弁でしかないメディアの言葉ではなく、あなた自身の声を聞くのです。その声は、あなたの胸の奥にいる仏様が発する声です。

坐禅の「坐」の字を見てください。上に「人」を2つ書いて、下に「土」。これは、今の自分と「本来の自己」が、土の上で坐禅を組み、語り合う姿です。私たちはいつ何時も、仏様と共にあるのです。

問題は「本来の自分と向き合う」時間が、なかなか取れないことです。忙しいせいばかりではありません。情報化が進んだ社会に暮らし、他人の様子ばかりを気にしていると、「本来の自己」の声は、雑念のなかにかき消されてしまいます。

仏壇の前で手をあわせる意味

どうか、時には他人の顔色をうかがうのをやめ、「本来の自己」を気にかける時間をつくってください。今はその声が聞こえないのだとしても、心のなかには確かに、生まれたままの姿をしたあなたがいるのです。

では、どうしたら自分のなかにいる仏様に出会えるのでしょう

それはジョブズのように、心の脂肪を取り去る習慣を持つことです。脂肪に覆われたままの心に問いかけても、煩悩にまみれた言葉しか返ってこないはず。まずは、その体脂肪を取り去る必要があるのです。

ジョブズは鏡を使いましたが、私が使うのは「仏壇」です。

仏様(故人)を前にして自分を偽れる人などいません。仏壇の前で手をあわせていると、自然と心が洗われ、生まれたときそのままの仏性が姿を表します。社会的な地位や肩書すらはぎとられて、素の自分があらわになります

そのとき、こう自問自答してください。

自分は、ありのままの自分が望む人生を生きているだろうか

自分が歩むべき道から、外れてはいないだろうか

そんな自問自答をするのに、仏壇の前ほどふさわしい場所は見あたりません。家に仏壇がない場合は、ご家族の写真、神社やお寺の御札などでもいいでしょう。

それも難しければ、自分の尊敬している人の本や写真でも結構です。そこに身をおいたら決して嘘がつけない場所、神聖な場所をつくるのです。

この先、ありのままの自分を何度見失おうと、もう心配はいりません。仏壇の前にいけば、いつでも「本来の自己」に立ち返ることができるのですから。そのように自分のなかの仏様と対話をしていると、自分以上でも自分以下でもない、ありのままの自分の生き方が、身についていきます

自分の人生、これでいいんだ」ーー。やがては、そんな納得にたどりつくでしょう。誰が納得するのか。あなたの心に住まう仏様が、納得するのです。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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