健一さんとの間に子どもができることを強く望んだ美晴さん。不妊治療に励んで2年半後に娘を授かったが、残念なことに死産だった。美晴さんは話しながら涙を流す。
「不妊治療をしなかったら、こんな気持ちにならずにもっと穏やかに2人だけの生活を送れていたかもしれません。でも、娘は私たちの初めての共通の大事だったんです。戸籍に残してあげることもできなかったけれど、名前を付けて今でも呼んでいます」
お互いがベスト・オブ・ベスト
今は2匹の老犬を2人で可愛がりながら暮らしている。健一さんは半導体関係の技術職を得て、結婚後に正社員となって現在6年目だ。
「主人が5年以上も定職に就いているのも夢みたいだし、結婚生活自体が不思議。今でもパラレルワールドにいるような気分です。もっと早くに結婚できていたらと思うこともありますが、主人との結婚でなかったら続いていなかったかもしれません。私には主人がベスト・オブ・ベストです。主人はどう思っているのかわかりませんけど」
美晴さんが水を向けると、健一さんも「僕も美晴がベスト・オブ・ベストです」と淡々と応えた。なんのひねりもないけれど、なんか面白い。静かでも不思議なユーモアを醸し出す人だ。美晴さんはそこに居心地の良さを感じているのかもしれない。これからも2人は夢のような結婚生活を続けていくのだろう。
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