7年後にようやく終わりがきた。仕事で疲れ果てた美晴さんは会社を退職し、WEBデザインを学べる職業訓練校に通い始める。規則正しい生活を手に入れ、さまざまな背景を持つクラスメイトに恵まれ、今まで2人きりの世界に浸っていたことに気がついた。心身が健康になれば離れるべき人と離れられるという事例だと言える。
「主人(健一さん)と出会ったのもその学校です。何人かと親しくなり、複数で遊ぶうちの1人です。ずっと単なる友だち関係でした」
結婚して子どもが欲しかった美晴さんは、父親の仕事関係のつながりでお見合いをする。相手は11歳年上。実家のある東京で暮らしている人だった。
「私は28歳になっていたので焦りもあって結婚するつもりでいました。一緒に住む家も東京で探していたのですが、その人とお母様との関係を受け入れられずに2年弱で別れてしまったんです」
その男性のいわゆるマザコンな性質が発覚したのは2人での旅行から帰ってきたときのこと。旅先での過ごし方に意見の相違があったことをなぜか彼の母親が把握しており、美晴さんが折れて息子に寄り添うべきだと注意してきたのだ。
「それまでのことも彼はすべてお母様に報告していたようです。キショ!(気色悪い)と思ってしまい、結婚には進めませんでした」
健一さんへのラブレター
当時は東日本大震災の直後で日本国中が動揺していた。それまで定職に就いたことがなかったという健一さんは福島県での汚染土処理作業に応募。戦場に送るような気持ちになった美晴さんは健一さんへの愛に気づく。
「前の彼と別れてからもネットで婚活をしていました。でも、いつも健一さんと比べてしまうんです。私が気取らなくていい人だから……。この人以上の男性はいません」
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