人のみならず犬でもアレルギーが急増する理由 アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを防ぐには

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この本で書かれているように、他の病気と違い、アレルギーという言葉が包含する病態の幅は非常に広範です。つまり、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息、といっても、患者さんそれぞれの病態はとても複雑かつ、それぞれが全く異なります。また、環境や体調に左右されて、日々その状態が変わります。

つまり、アレルギーという疾患に対する対策や治療は、個々の患者さんのその日の病態や状態によって合うもの、合わないものがあって当然ということになります。診断や治療のガイドラインの構築が、専門の先生方のご尽力により、進みつつありますが、食物アレルギーの経口免疫療法などは、まだ治療のガイドラインが作成されていません。

本書でも、アレルギー疾患の診断の難しさについて記述されています。個々の患者さんの病態や状態を、科学的に捉え、1つ1つエビデンスを蓄積しながら、適切かつ安全な診断と治療法、管理法を確立していく必要があります。

最新研究「自分の食物アレルギーの状態を知る」

私は、アレルギー専門医の先生方に尽力いただき、共同研究をすすめ、食物アレルギーの患者さんの病態や状態がわかる、バイオマーカーの探索と、診断キットの開発に長年取り組んできました。

先ほど言いましたように、個々の持つアレルギーの背景によって、日々の状態は変わりますから、血糖値と同じように食前食後など、毎日測定することで、自分の体の中で起こっているアレルギー反応が、どういう状態なのかをモニタリングし、管理できるようにするキットを作りたいと思っています。

今みつけている食物アレルギーのバイオマーカーを測定できるキットが完成すれば、乳幼児など、小さなお子さんから採血する必要がなく、尿を用いて体内のアレルギー反応の状態をモニタリングすることができるようになります。オムツからもこのバイオマーカーは検出することができます。

また、このバイオマーカーの反応性(感度)は高いため、症状の出ないような体内のアレルギー反応を捉えることができます。日々行う経口免疫療法により、自分が食べられるようになっているのか、症状がでていて食べられないのか、という治療反応性を見ることもできます。

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