経済成長至上主義を今こそ再考すべきだ--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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ケネディは特に軍事力に焦点を合わせたが、今日の世界では、経済で成功した国々が多くの面で高い地位を享受する。そして、世界各国の政策立案者は、当然ながら国家の経済ランキングを気にしている。世界の大国を目指して経済的に競争することは、長期的成長に焦点を合わせる論理的根拠として理解できる。しかし、実際にこうした競争が長期的成長に焦点を合わせることの一番の理由であるならば、この点をまったく無視している標準的なマクロ経済モデルを見直すべきである。

もちろん、現実の世界では、長期的な成長は国家の安全保障と世界的な地位にとって不可欠だと各国は正しく認識している。今日では、先進経済諸国の大半を含む重債務諸国は、窮地から脱するために経済成長を必要としている。しかしながら、長期的な提案として、趨勢的な成長に焦点を合わせるように主張することは、多くの政策立案者や経済理論家が人々に信じ込ませているほど包括的なことではない。

経済の不確実性が大きな時期に、「経済成長至上主義」を疑問視することは不適切に見えるかもしれない。だが、危機のときこそが世界的な経済政策の長期的な目標を再考するチャンスなのである。

Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

(週刊東洋経済2012年1月28日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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