中央銀行栄え、国滅ぶ台湾、代償大きい最大の公営事業

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一方、支出は主に利息費用で、大部分がNCD(譲渡性預金)発行によるコストだ。08年の同行の利息費用は1505億台湾ドルに達し、支出総額の9割を占めた。

つまり、台湾中銀の利益に影響を与える要素は、外貨準備総量、金利環境、NCDの発行総額、NCDの利率、為替レート──の五つ。このうち、金利環境以外はすべて同行のコントロール下にある。

台湾中銀が過去10年余り、強力な利益獲得能力を見せてこられたのは、独占的な価格決定能力があったからだ。その結果、台湾の長期的な低金利、台湾ドル安、資金のだぶつきをもたらすことになった。

台湾中銀の利益獲得については、学者の間でも意見が分かれる。彭総裁が国庫納付という任務を過度に重視していると指摘する学者がいる一方、同行の利益獲得能力の高さは台湾の特殊な金融環境がもたらしたものだと主張する者もいる。

しかし、台湾中銀の利益獲得能力の高さの根拠となる長期的な低金利によって、国民貯蓄が目減りしているのは確か。1997年以前、台湾の実質金利はシンガポールや韓国と差はなかったが、98年以降、3カ国中で最低となった。この5年間で27カ月が実質マイナス水準だ。

銀行の利ザヤは02年以降に急速に低下し、07年以降は金融業界が合理的最低水準と認定する2%に回復することはなく、この3年間は1・5%程度にとどまっている。

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