写楽や歌麿を世に送り出した蔦重のスゴい仕事術 NHK大河「べらぼう」主人公に学ぶ仕事のコツ
前者はいわゆる、チャレンジングで尖った企画。たとえば、影響力が未知数の新人作家のデビュー小説や、突飛で独特な内容の本などが挙げられるでしょう。
大失敗に終わるリスクも孕んでいますが、その独創性が読者の心をとらえ、ヒット作に化ける可能性も秘める作品群です。
一方の後者は、爆発的なヒットは期待できないものの、一定数のニーズを満たすことによる、安定的な収益が見込める作品たち。現代でいうと、何かを学ぶための教科書的な本、あるいは手芸などのハウツーを掲載した実用書などがこれに当たります。
派手さにはやや欠けるかもしれませんが、一定の需要があり、かつあまりトレンドに左右されないことから、長きにわたって売っていくことができ、堅実に収益を生み出していけます。
2種類のビジネスのバランスのとり方に秀でていた蔦屋
こうしたチャレンジングな事業と、手堅い事業。蔦重はこの2種類のビジネスのバランスのとり方に、非常に秀でていました。
彼自身が心から喜びを感じていたのは、前者の「大胆な仕事」の数々でしょう。けれど、ビジネスの世界はそんなに甘くはないのだということは常に胸に刻まれていました。
利益を追求することが、商売人の使命です。「利益は出なくても楽しいから」という姿勢では、単なる自己満足の遊びになってしまいます。だからこそ、この両軸の調整を図りながら、商売をしっかりと成り立たせていたのです。
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