ホテルの歴史的高騰の裏で「賃上げ」が二極化の訳 積極的にベアする企業の一方、中堅社員は憂き目?
12ブランドのうち11ブランドは、2023年の客室単価も上回っている。注目すべきは、この価格高騰下でも客室稼働率は12ブランド全てが70%を超え、7ブランドが80%を超えているという事実だ。
こうした需要の高まりを牽引しているのが、インバウンドの復活である。2024年7月19日に政府が開催した「第24回観光立国推進閣僚会議」では、2024年の訪日外国人旅行者数が過去最多の3500万人になる見通しが示されている。これは2019年の実績約3188万人を上回る数字だ。
2025年には大阪・関西万博の開催も追い風に、さらなる増加が見込まれており、直近の伸び率で推移すれば2030年には、政府目標である6000万人も視野に入る。
そうなるとホテルの客室はますます、国内客とインバウンドの争奪戦に。来年以降、さらなる値上げは避けられない状況と言えそうだ。
大手では進む賃上げ、働く人に還元の姿勢が
ビジネスホテル代が高くなるのは消費者にとっては痛手だが、働く人にとっては、待遇改善につながるなど、ポジティブな面もあるかもしれない。
業界では長年、「他業界に比べて給与が低い」と言われており、それに伴う人手不足も深刻な問題になっている。
実際、厚生労働省が2024年3月に発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、「宿泊業、飲食サービス業」の平均賃金は25万9500円と、全産業の中で最も低い水準にとどまっている。
ただ、これはあくまで宿泊業、飲食サービス業全体の平均値で、独自に調査したところ、変化し始めているビジネスホテルもあった。
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