ホテルの歴史的高騰の裏で「賃上げ」が二極化の訳 積極的にベアする企業の一方、中堅社員は憂き目?
全国に展開する「ドーミーイン」「共立リゾート」をはじめ、学生寮・社員寮「ドーミー」、高齢者向け住宅「ドーミーシニア」なども運営する共立メンテナンスは、2024年5月から、総合職・事務職・ホテリエ・ウェルフェア・スペシャリストの正社員2132名を対象に、昇給率6%(定期昇給を含む)のベースアップを実施している。
業界最大手であり、全国に745ホテルを展開するアパグループからは、賃金に関するアンケート調査への協力を得られた。同社は、2023年6月に1万1000円、2024年6月に2万2000円のベースアップを実施している。
昇給の理由はもちろんインバウンド需要の高まりなどによる好業績だ。2023年11月期の連結決算での経常利益は、約552億円と過去最高を更新。そこで、人材の獲得とつなぎ止めのために昇給を行った形だ。
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初任給についても、2023卒の初任給で1万円、2024卒の初任給で2万円引き上げ。こちらは採用競争力の強化が目的で、金額は、異業種を含めた他社の初任給の傾向から判断したという。さらに、2025卒の初任給は、2024年の昇給結果を踏まえて、プラス2万8500円が決定している。
アパは、業界内でも突出して堅調な業績を維持しているグループだ。
そんな同社に、ホテル業界が他業界に比べて給与が低い傾向と、人手不足についても尋ねたところ、「賃上げ原資を確保して給与水準を高めていくことで、結果として、さらなる業績の向上を実現し、経営の善循環を図っていきたい」と回答した。
実際、社員からは昇給に限らず、福利厚生の拡充など、さまざまな施策による社員への還元に対し、喜びの声が上がっているという。また離職率も改善しているそうだ。
コアグローバルマネジメントは基本給最低額を26万円に
一方、宿泊特化型ブランドの「クインテッサ」「ザエディスター」をはじめ、ラグジュアリーブランドの「ヒューイット」なども手がけるコアグローバルマネジメントからもアンケート調査の協力を得た。
同社は、2023年1月、新入社員の初任給を26万円に引き上げ。その金額に満たなかった社員の基本給の最低額も、一律26万円とした。
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