アメリカLNG事業で問われるメガ銀、損保の責任 現地住民が環境、人権への負の影響を指摘
マンスィアス氏とともに来日した、南テキサス人権センターのディナ・ヌニェス氏は、「LNG基地の操業は住民の健康を悪化させ、エビ漁などの地域の漁業や、エコツーリズムなどの地域産業にもマイナスの影響を与える」と指摘する。
LNG基地の建設予定地の約半分は湿地であり、国立野生動物保護区の対岸に位置しているためだ。そこはオセロット(ネコ科の動物)など絶滅危惧種の生息地であり、LNG基地建設による悪影響が危惧されている。
同じく来日したベッカ・ヒノホサ氏(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)は、両LNGプロジェクトおよびガスパイプラインプロジェクトが「この地域で暮らす人たちや先住民族にとって最大の脅威になっている」とし、FERCによる許認可取り消し訴訟を提起した。
訴訟は数年にわたったが、2024年8月にワシントンD.C.巡回区控訴裁判所は適切な環境評価が実施されていないとして許可取り消しの判決を出した。しかし、すでに始まった工事は現在も続き、ヒノホサ氏は「法手続きの抜け穴」の存在を問題視している。
化石燃料への投融資でメガバンクは世界上位
RANなどの環境NGOは「化石燃料ファイナンス報告書2024年版」を発表。それによると、2016年に気候変動に関するパリ協定が発効して以降、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料の開発・生産などに資金提供した金融機関のランキング(融資・債券などの引き受け金額ベース)で、三菱UFJは第4位、みずほは第6位となっている。
現地住民とともに来日したRAN気候変動・エネルギー担当シニアキャンペイナーのルース・ブリーチ氏は、「メキシコ湾岸のLNGプロジェクトでは日本のメガバンクが重要な資金供給源となっている」と指摘した。
天然ガスは日本では大気汚染物質が少なく低炭素の「クリーン燃料」のイメージが強いが、アメリカではその開発は国論を二分する問題となっている。メタンの環境中への漏洩や、液化に伴う膨大な化石エネルギの大量使用など、持続可能性も問題視されている。
アメリカの先住民などマイノリティの人たちの声にも耳を傾け、エネルギー生産や使用のあり方を考え直す必要がある。
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