優等生だったドイツがここまで「凋落」したなぜ それでも政府には危機感がない不思議
その象徴が11月6日にリントナー財務相を解任したことだった。今回の混乱の主因となったのは、連立政権内の対立で来年度予算成立が見通せない状況に陥ったことにある。
そもそも3党連立の一角をなしていたリントナー氏の自由民主党(FDP)は、経済リベラルを推進する党で、ショルツ氏の社民党や環境政党の緑の党のような左派とは異なっていた。
連立政権が発足した後、彼らが実行したのは原発との完全離脱だったが、そのため、原発よりCO2排出の多い石炭発電を残す極めてイデオロギー的決断を実行したが、ウクライナ紛争で左派政権は追い詰められていった。同時にメルケル前政権の置き土産だった大量に受け入れた移民の同化政策で苦戦を強いられた。
政府も今回のテロに当惑
連立政権崩壊の矢先、冒頭の通り、ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州都マグデブルクで悲劇が起きた。クリスマスマーケット襲撃テロは今回が始めてではないが、なぜマーケットへの車の乗り入れをできなくしていなかったのか当局への非難の声は高まっている。
国民だけでなく連邦政府も、今回のテロに当惑している。車を運転していたサウジアラビア出身で同州在住の精神科医師の男(50)は単独犯と見られ、10月まで地元当局が危険人物として連絡を取っていたことがわかっている。ではなぜ、テロ行動を察知し阻止できなかったのかというと、男はイスラム教をやめ、無神論者となり、サウジ批判を繰り返していたからだった。
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