銀座で「フカヒレ定食」仕掛ける中国人女性の正体 美食ブランドを立ち上げる彼女の「夢と不安」
「いま41歳ですが、すでに故郷の中国・河南省より日本でのほうが長くなりました。この前も2カ月ほど帰国しましたが、住み慣れない感じがして、すぐに日本に帰ってきました(笑)」(孫氏)
会社員時代に接待の席などで食べた中国料理の値段が高く、「質の高いものをリーズナブルに提供できれば繁盛するのでは」と考えたのが、起業に踏み切った理由だった。
「もっとも、当時20代で1万5000円から2万円ぐらいの料理。今考えれば高すぎるということはなかったかもしれません。それに当時なら中国で1万円ぐらいで食べられたでしょうが、今は物価が変わってきて、もちろん中国の都会に限ってですが、日本の方が若干安いかも」
20代前半。アイデアをとにかく試してみたいという、エネルギーを感じさせる。
親が夫婦で飲食店を経営しており、B級グルメの店を運営している親戚もいた。そんな環境で育ったため、起業して店を開くという考えには自然にたどり着いたようだ。
「ちょっと赤」という状態が続いた
しかし世間の風は孫氏にかなり厳しく吹きつけた。
外国人で女性、会社経営や飲食店の経験もない。信用が得られるはずもなかった。開業資金は親、親戚、知人友人に頼み込んでなんとかしたが、難航したのが店舗立地だ。探しては断られ、また探し、の連続で、半年も検討期間を引き延ばされた後、結局、入居が叶わなかったこともある。
「何度断られてもあきらめないで探し続けていました。でも、そのときは本当にショックでした」
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