【産業天気図・外食】少子高齢化が響き市場縮小。飲酒運転取り締まり強化も逆風
外食産業は07年度にかけて「曇り」模様が続きそうだ。
外食市場は1997年をピークに市場規模は右肩下がりが続き07年度に向けても、その流れは変わりそうにない。主戦場は、ほぼ国内に限られており、少子化という「口」の減少、高齢化という「胃袋」の縮小がダイレクトに響く。市場全体の先行きは一向に光の見えない中、限られたパイをめぐり各社激烈な競争が続いている。
各社とも、これまで既存店の売上高減を積極的な新規出店でカバーする戦略を採ってきたが、さすがに出店余地が限られてきており、新店攻勢はややピークアウト。代わりに店舗リニューアル強化に意欲を示している。また業界に共通して人員不足が深刻化し、都心部では時給1000円を超え始めている。
業態別で見ると、昨今の飲酒運転の取り締まり強化が響き、今下期の忘年会需要を見込んでいた居酒屋が厳しい。大手のワタミ<7522.東証>は新規出店の減速に加え、既存店売上高は前期比4%減。パート人件費の大幅増も響き、通期業績見通しの減額を余儀なくされた。大庄<9979.東証>も今07年8月期について、競争激化による客数減が響き既存店売上高を3%減と見ている。各社ともメニュー改定等による単価引き上げに全力だが、客数減基調は続き、続く07年度も既存店は前年並みがせいぜいだろう。
ファストフードはまだら模様だ。和食関連は注目の吉野家ディー・アンド・シー<9861.東証>が米国牛を使用した牛丼を復活。ただ牛肉調達量が不十分で07年度も上半期は時間限定販売が続き、回復は緩慢だ。他方で米国牛不使用のゼンショー<7550.東証>は、主力の「すき家」が安全性強調の奏功で既存店大幅増となった。
【風間直樹記者】
(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部
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