ヤマトと日本郵便「令和の大同団結」が泥沼化 「こねこ便」も火種に、日本郵便は訴訟の準備中

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今回のトラブルの経緯を紐解いていくと、そもそもの合意内容やオペレーションについての認識のズレ、見通しの誤算があったようだ。

両社の乖離は、メール便の移行時から生じていたようだ。ヤマトの「クロネコDM便」は2024年1月に終了し「クロネコゆうメール」としてサービスを開始している。

移管にあたって、ヤマトの荷物は日本郵便側の仕様に合わせることになり、受けられない荷物が増えた。ここで日本郵便に流れた顧客が多かったようだ。メール便の数量は移管のタイミングで激減していたという。

クロネコゆうパケットについても、委託によってネコポスより配達日数が伸びて品質が下がるため、より配達が早い日本郵便のゆうパケットへ顧客が流れた。両社で納期を短縮すべく改善を急いだが、うまく進まなかったという。

この点、日本郵便は「10月から納期を短縮する取り組みを始め準備していたが、ヤマトからの荷物がほとんどなかった」(担当者)と説明する。

「こねこ便」の波紋

メール便が大幅に減り、ネコポスも顧客流出が続く。ヤマトからすれば「東京を移管したら荷物がなくなる」状態だ。そこで今回の申し入れに至ったという事情だった。

移管によってサービス内容が変化するのは当然のことだろう。しかし、顧客の離反はヤマトにとって想定以上だった。この点は合意の内容や見通し自体が甘かったといえる。

そのほかも、両社の動きにはちぐはぐな感が否めない。

ヤマトは8月、専用資材を事前購入し、全国一律420円で送れる「こねこ便420」を発売。提携相手である日本郵便の「レターパックライト」と近い仕様で10円安い。しかも、事前に日本郵便と協議して発売したものではなかったという。

こねこ便420はレターパックライトに近く、10円安い。日本郵便もこれには無反応とはいかなかったようだ(写真:ヤマトHD)
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