日立の新社長は「創業の地からやって来た大本命」 德永氏が加速させる「デジタルセントリック」とは

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日立は2021年にアメリカのIT企業、グローバルロジックを約1兆円で買収している。同社の開発した代表的なサービスには、マクドナルドが世界中の店舗で採用しているセルフオーダーシステムがある。顧客には世界的な企業が並ぶ。

德永氏は買収を決断した当時に社長だった東原・現会長から買収先の選定を任された。「売り上げがたった1000億円台。そんな会社をなぜ1兆円で買うのか」。当初は取締役会でそんな批判を浴びたが、東原氏と買収成立に向けて説得した。

買収後は日立側の責任者として日立本体とグローバルロジックとの融合を進めていった。その結果、グローバルロジックは買収当時から売上高が2.5倍に成長している(下図)。

グローバルロジックの業績

現在はその延長線で日立全体の成長戦略の要であるIT事業全体を担当し、「ルマーダ化」を推進する重役を担っている。

さらに今年4月からは、新たに「成長戦略担当」という新たな職務も追加された。現在の中期経営計画は2024年度末が期限。德永氏はさらにその先の2027年までの計画策定を進めてきた。

現社長の小島氏の社長就任は、中西宏明元会長(2021年逝去)の体調悪化を受けて、当時社長だった東原氏が想定より時期を早めて会長に繰り上がることが1つの契機となった。

約3年ぶりの社長人事にはそうしたイレギュラーがなく「タイミング・人選ともこれ以上ないほど順当な人事」(関係者)と受け止められている。来年4月の社長就任以降は、德永氏が立案した計画を自らの手で実現していくことになる。

重電大手からデジタル企業に変貌

IT分野の経験が長い德永氏を次期社長に選んだことには、社内外のデジタル化をさらに加速するというメッセージが込められている。

日立に対する評価は2024年の1年間だけでも大きく変わった。年初に約10兆円だった時価総額は11月末の時点で1.8倍の18兆円に上昇。上場企業の時価総額ランキングで三菱UFJフィナンシャル・グループやソニーグループと2位を争うまでに拡大した。

かつては東芝や三菱電機と並ぶ重電大手の一角だったが、足元の利益構成を見ると、企業向けのシステム開発などを行うデジタルシステム&サービス(DSS)が36%で最も大きい割合を占める。

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