尹大統領「弾劾案可決」でこれから何が起こるのか 次期大統領候補と言われる李代表も実はピンチ
確かに野党の攻勢は執拗だった。尹大統領の就任3カ月目から進歩系の市民団体は退陣、弾劾デモをほぼ毎週末続けてきた。国会では、任命された政公職者などを次々と弾劾で追い込み、2025年度の予算は韓国憲政史上初めて野党単独による4兆1000億ウォン(約4415億円)の減額処理となった。
こうした一方的な攻勢が可能だった背景には、”スーパー野党”の存在がある。今年4月に行われた総選挙では、野党6党合わせて300議席中192議席を獲得している。
韓国人が談話でおかしいと思ったポイント
ただ、韓国の人々が談話に首をかしげたのは、「2024年4月の総選挙での不正操作疑惑」のくだりあたりからだ。尹大統領は戒厳令を宣布した後、戒厳軍を中央選挙管理委員会へと向かわせた。総選挙が不正操作されたと考え、データの複写が目的だったといわれている。
韓国の公共機関へ北朝鮮によるハッキングが発覚したことがあったが、関連性を疑っていたようだ。ただ、国家情報院がすでに調査済みで、ハッキングは発見されなかったことがわかっている。
「野党の攻勢は度を超してはいましたが、そもそも野党に議席を許したのは、尹大統領の失政でした」と中道系紙記者は言う。ブランドバッグ受け取りなど夫人のリスク管理の怠慢、大学、高校の学閥人事、英断とされた医療改革も強引に推し進めることしかできなかった政治力の不在などを挙げて、こう続けた。
「中道だった尹大統領は政治基盤がないがために支持率を上げようと保守のように振る舞いました。そのうちに中道保守からの支持を失って、極右の主張に傾倒してしまった。戒厳令で野党を抑えこもうという発想はこうした極右の主張からくるものだったのでしょう」
14日夕刻、弾劾訴追議決書を受け、憲法裁判所は罷免の是非を判断する手続きに入った。審理は6カ月以内とされるが、盧武鉉元大統領は63日、朴槿恵元大統領は91日だった前例から考えると、判決は3月か4月になることが予想される。憲法裁判所の9人の裁判官のうち6人以上が弾劾訴追と判断すれば罷免となる。
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