タイ復旧需要が追い風、強気の工作機械メーカー

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昨年10月に発生し、日本企業も大きな被害を受けたタイの洪水。本格的な復旧が始まり、機械を造るための設備である工作機械が特需に沸いている。

日本工作機械工業会(日工会)は、被災した地域に約1万台の日本製工作機械が設置されていると推計。その入れ替えなどで最大約1000億円の需要が生まれるとみられる。これは、2011年の年間受注額(1兆3262億円、速報値)の1割弱に当たる。

すでに11~12月で約200億円の受注があったもようだが、その中心は被災した企業がタイ国外で代替生産するための設備。治水対策にメドがつくとみられる今春以降には、「タイ国内向けの需要が出てくる」(大手工作機械メーカー首脳)。

そんな中、日工会の横山元彦会長(ジェイテクト会長)は11日、12年の年間受注額が1兆2000億円になる、との見通しを明らかにした。欧州の財政問題や円高による設備投資の冷え込みで昨年より1割前後落ち込むが、それでも高水準で「昨年の同時期に比べ、見通しは明るい」(横山会長)という。

拠り所はアジア市場。タイの復旧需要に加え、昨夏以降、金融引き締めによる影響を受けて伸び悩んでいた中国向け受注が、昨年末に金融緩和に転じたことで今年は上向くとの目算がある。ASEAN(東南アジア諸国連合)も自動車関連を中心に設備投資が活発だ。

ただ企業間では、受注の見通しについて温度差がある。

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