BMWのキーマンが明かす「パワトレと水素」戦略 内燃エンジン車、BEV、FCEV…魅力ある車を作る
BMWは電動化戦略について「パワー・オブ・チョイス」というワードを用いる。つまり内燃エンジン専用車とBEV専用車を作り分けるのではなく、1つのモデルに内燃エンジン、PHEV(プラグインハイブリッド車)、BEVに、可能ならばFCEV(燃料電池車)まで幅広いパワートレインを用意して、ユーザーに選択してもらうというものだ。
実際、最高峰の「7シリーズ」にはガソリンとディーゼルの内燃エンジン車とPHEV、さらにBEVが設定されている。
その方針は今後も変わらず、BEV専用アーキテクチャーを使い、デザインも室内環境もドラスティックに変えていくノイエ・クラッセだけではなく、現在と同じように内燃エンジン車と共通の車体を使ったBEVも引き続き展開していくというわけだ。だが、昨今のBEV市場の退潮は、計画にまったく影響を及ぼさないのだろうか。
フレキシブルな対応を重視
「パワー・オブ・チョイスの言葉の通り、お客様が選べるということが重要と考えて、柔軟性のあるアーキテクチャーを用意してきました。さらに技術的にできるというだけでなく、実際に作れなければいけないので、内燃エンジンとBEVの切り替えがフレキシブルに行える生産工程を採用しています。ポイントは、BEV市場の成長過程において、ユーザーが想定以上にBEVを選んだ時でも、あるいは逆に販売が減少した場合でも、容易に対応できるということで、今後もその考えは変わりません。フレキシブルに両方のパワートレインを提供することが大事だと考えています」
分かっていて聞いたところもあるが、元々こうして柔軟に対応できる態勢をとっていただけに、市場がBEVに振れても、振れなくても、想定の範囲内。ビジネスには概ね影響はしていない、ということである。
「それは競合他社と比較した際にも、こうして全体的なBEVの需要が下がる中で、私たちが成功できている大きな要因と言えます。さらに大事なことは、こうした考え方で生み出された私たちのBEVは、商品としても非常に魅力的なものになっているということです。全体的な需要は落ちていても、BMWに対する需要は落ちていないと感じています。実際、BEVの販売台数の伸びは今年も13~17%の増加を実現しています」
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