BMWのキーマンが明かす「パワトレと水素」戦略 内燃エンジン車、BEV、FCEV…魅力ある車を作る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみに2023年に実証実験のため限定導入されたBWM iX5 Hydrogenは、トヨタからFCセルの供給を受けつつ、そのセルを組み合わせたスタックをはじめとするシステム全体をBMWが開発したものだった。今後はどういうかたちを採るのだろうか。

「今の段階ではその辺りはまったく決まっていなくて、まずは技術を一緒に開発するということです。車両を開発する中で第三者から調達するものもあれば、トヨタが開発して提供するものもあり、もしくはBMWが提供する部分もあるかもしれない。それは最終的に相乗効果はどこにあって、両社で何を一緒に生み出すことができるのかで決まると思います。同じものを両社がお互いに作るのではなく、どちらが何を担当して、どうすれば一番効率よくなるのかを見極めること。まずはそこが重要ですね」

その中には水素燃料タンクも当然含まれる。高圧化しても依然としてコンパクトとは言い難い水素燃料タンクは、車両全体のパッケージングにもっとも大きく影響するパーツだ。

「もちろん、タンクに関しても色々開発しています。タンクは非常に重要です。生産、製造を考えた時には、どこまでFCEVをBEVに近づけることができるのかが重要なカギとなります」

共同開発したFCEVは2028年に量産開始

同じ車体で内燃エンジン車、BEV、そしてFCEVを成立させる。パワー・オブ・チョイスの中にFCEVを組み込むことこそ、量産化には非常に重要というわけだ。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

「はい。間違いありません。BEVも含めて製造が柔軟に対応できるかたちでなければならないんです。私たちはBMWですから、いずれのパワートレインでも、もちろんFCEVでも、競争力ある航続距離、電費を実現し、お客様が求めるような魅力的なクルマ、最善の選択肢を提供したい。結局はそれに尽きますね」

BMWは新たにトヨタと共同開発を行うこのFCシステムを用いた車両を、2028年より量産開始すると発表した。生産、流通まで含む水素インフラの整備についても両社で共同で取り組んでいくという。ここに来て、ヨーロッパでも改めて注目度の高まっている水素エネルギー。FCEVの新たな時代が切り拓かれることになりそうだ。

島下 泰久 モータージャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事