司法省「グーグルにクローム売却要求」ヤバい影響 IT業界にこれから大転換の時代がやってくる
――グーグルにとってはかなり厳しい内容ですよね?
司法省が要求したとしても、裁判所がすべてを認めるとは限らない。だから、とりあえずいちばん厳しい要求を最初にしておいて、お互い妥協して、最終的に落ち着くところで落ち着くというのを狙っているのだろうと思います。
――クローム売却となった場合、グーグルの事業にどんな影響があるのでしょうか。
かなりの影響があります。ブラウザー市場に占めるクロームの割合は60~70%ぐらいといわれている。クロームを使えば、グーグルの検索を使うことになって、グーグルには広告収入が入ってくる。クロームが売却されると、グーグル検索を利用する人が減り、広告収入も減ります。
それだけではなく、検索によってグーグルはいろいろなユーザーのデータを得ている。そうしたデータは生成AIの開発などにも非常に役立つわけですが、それも減るわけです。
つまり未来のグーグルのビジネスにもそうとう悪影響があるということで、かなり注目されています。
――クロームの買い手としては、どういった企業が想定されるのでしょうか。
他のIT企業かもしれないが、司法省としては営利団体ではないところが、お金儲けではなく研究開発目的で買収してくれるというのが望ましいと思っているのではないでしょうか。
25年前のマイクロソフトの事例と似ている
――司法省は1998年に反トラスト法違反でマイクロソフトを提訴し、2000年に連邦地方裁判所がマイクロソフトを2社に分割する是正命令を下しています。その後和解が成立して分割は免れましたが、そのときと今回との違いはありますか?
似ています。マイクロソフトは、OS(基本ソフト)のWindows(ウィンドウズ)とブラウザのInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、IE)の抱き合わせ販売が問題になった。
当時はNetscape(ネットスケープ)というブラウザが優勢だったのですが、マイクロソフトはパソコンメーカーに対してウィンドウズを搭載したパソコンを発売するなら、マイクロソフトは必ずIEを搭載してくださいと制限をかけた。それがいわゆる反トラスト法に違反しているということで司法省は訴えた。
ちょうどインターネットが新しい産業として盛り上がってきていたときで、マイクロソフトは自社のブラウザを無理やり消費者に使わせることによって、これからのインターネット市場で権益を確保しようとしたわけです。
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