秋吉さん下重さん語る「歳を取る」と「今を生きる」 大変な時代を生きる若い人たちに伝えたいこと

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秋吉 私は、物理的な「終活」は全くできていないですけど、子どもの心で、老いを見つめられるような強さを持ちたいと思っているんです。これも一種の終活だと思いませんか? 歳を取れば取るほど、人生は楽になるどころか、ますます大変になっていくでしょうね。

下重 やがて、そういうふうになっていきますよね。ただ、「いい子」になっちゃ駄目ね。誰にも媚びず、主軸はいつも自分の手元に置くことが大事。自分で考えて、自分で選んで、自分で行動して、その代わり自分で全責任を取る。これしかないです。

今の歳になって初めて自由を勝ち取れた

秋吉 下重さん、フランスの個人主義みたい(笑)。

下重 そう?  経済的自立と精神的自立、この2つがあれば自由を勝ち取れるんじゃないかと思うの。少なくとも私は、今の歳になって初めて自由を勝ち取ることができたと思ってる。

もっとも、経済的自立は時代背景にも左右されますね。私の母はサービス精神旺盛で、度胸もあって、もし働いていたら仕事ができたと思うの。でも、明治生まれの彼女が生きた時代、女性が男と肩を並べて働くことは容易ではなかった。

下重さん
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/文筆家。1936年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、NHKにアナウンサーとして入局。民放キャスターを経て文筆業に。著書に『家族という病』『極上の孤独』など多数(写真:新潮社)

私の時代ですら、大学を出ても女性は就職する先がほとんどない。私は言葉に携わる仕事をしたくて、他に選択肢がないから試験を受けてNHKアナウンサーになったのよ。

つまり長い間、いろんな女たちが「私はこれをやりたい」と願いながらも道は開かれなかった。それでもおのおのが懸命にいろんなことを考えて、追い求めてきた。そういう思いが脈々と引き継がれ折り重なって今があるんですよ。それが「歴史」ですよね。

あんまり説教臭いこと言いたくないけど、若い人たちにはそれを大事にしてもらいたい。選択肢がたくさんある時代だからこそ「自分がどうしたいか」「何をやっていくか」を突き詰めて考えてほしいの。

チャンスを掴んだら、生かさないと勿体ない。チャンスをものにできたら、その先に道が開ける。力をつければ、自分のできることを発揮する場所はどこかにあるはず。

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