真似できない「フェラーリ認定中古車」の仕組み 即納と価値向上を可能とした「お墨付き」制度

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SF90ストラダーレを新車で注文すると、ベース価格がおよそ9800万円。しかし、それはあくまでも“ベース価格”でしかない。そこからさまざまな装備(数十~数百万円のものも)を盛り込むことになるから、超がつくほどの高額となる。

しかし、フェラーリ・ジャパンのWEBサイトでフェラーリ・アプルーブドのSF90ストラダーレを検索すると、2022年登録で走行距離が750kmと、まだ慣らし運転も終わっていないような車両が6380万円で掲載されていた。

2024年11月21日現在、日本のWEBサイトに掲載されるアプルーブド・カーは248台(写真:フェラーリ・アプルーブドWEBサイト)
2024年11月21日現在、日本のWEBサイトに掲載されるアプルーブド・カーは248台(写真:フェラーリ・アプルーブドWEBサイト)

一般的には高価だ。しかし、ここで書いてきたような理由を鑑みれば「安い」と考える人もいるだろう。当然、すでに車両があるから納車も早い。

「フェラーリ・アプルーブドでの車両購入は、単に保証のついたフェラーリを手に入れることではありません。フェラーリ・ファミリーの一員になれるわけです。イベントでそういう人に会うと、本当にハッピーに過ごしています。そうした様子を見ていると、フェラーリ・アプルーブドの価値はあると、私たちも思いますね」(ショレッティ氏)

“フェラーリ・ファミリー”を育むために

競合ブランドの中には、ITや株の売買などで大きな利益をあげた人も重要なターゲットとして、新車ほぼ即納の体制をとっているところもある。しかし、そういった買い方をした人が、長きにわたって高価なスーパースポーツを維持する例は多くないという。

本国のファクトリーに書かれた創業者エンツォ・フェラーリの言葉。「夢を見ることができるなら、それはきっと叶う」の意(筆者撮影)
本国のファクトリーに書かれた創業者エンツォ・フェラーリの言葉。「夢を見ることができるなら、それはきっと叶う」の意(筆者撮影)

それが事実だとすると、20年先までを見据えたこのフェラーリのビジネスは、独自性もあり、長期にわたってユーザーとの関係を育むことで、さまざまなかたちで利益を生んでくれそうで、たいへんユニークなあり方だと思う。“フェラーリ・ファミリーの一員”になりたい人にとって、魅力的なプログラムではないだろうか。

【写真】イタリア・フィオラノ・テストトラックを走るアプルーブド・フェラーリ
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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