深刻なプラスチック汚染、生産自体に総量規制を 汚染研究の第一人者が期待する条約制定

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――UV328は人体からも検出されているのでしょうか。

私たちの測定では、今のところ、人体からは検出されていない。ただ、海鳥からはすでに見つかっている。私たちの研究室では、世界中の研究者に呼びかけて、海鳥の尾羽の付け根から分泌される脂をサンプルとして送ってもらっている。それらを分析して、成分を調べている。

(出所)高田秀重・東京農工大学教授作成資料

UV328はこれまでにマリオン島やゴフ島といった、南アフリカ共和国と南極の間にある無人島から採取された2種類の海鳥の尾羽の脂から、高い濃度で検出されている。

プラスチックが有害物質の運び屋に

――そこからどのようなことが言えるのでしょうか。

世界規模でプラスチックによる汚染が広がっているという事実だ。添加剤を含んだプラスチックが漂流し、それを食べた海鳥の体内の脂肪にたまっていることがわかった。ここではセンチメートルないしミリメートル単位のプラスチックが運び屋となっている。

オーストラリアの西海岸では、UV328の類縁物質であるいくつかの添加剤が海鳥の尾羽の脂から高い濃度で見つかっている。こうした物質が原因と思われるが、その海鳥では血液中のカルシウムの濃度の減少が認められている。

その結果、卵の殻が薄くなり、孵化する前に外敵に襲われることで繁殖率が落ち、種の絶滅につながることになる。実際には、このアカアシミズナギドリという海鳥の個体数の減少も報告されている。

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