タイ人口の10分の1がミャンマー人になった理由 2021年クーデター後に人材の国外流出が拡大

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「タイでは、新型コロナウイルス感染症の流行により、厳しいロックダウンが長期間続きました。当時、22店舗あった私たちの店舗は思うように営業できず、タイ人スタッフは田舎に帰りましたが、ミャンマー人スタッフはすぐに母国へ帰国することができませんでした。私は引きこもってしまいましたが、ミャンマー人スタッフたちは帰国できないにもかかわらず『給料はいらない』と言って、私を助けてくれました」と清水社長は振り返ります。

「そんな厳しい状況の中でも元気に過ごす彼らの忍耐強さに感心し、勇気づけられたことは今でもよく覚えています。私にとってミャンマーは特別な国です。ミャンマーには2店舗を出店していましたが、コロナとクーデターの影響で残念ながら撤退しました。今、ミャンマーは厳しい状況にありますが、いつか国が回復した際には、必ず恩返しをしたいという気持ちをつねに持っています」(清水社長)

ミャンマー人が会社の中心に

在タイ日本人から根強い人気を誇る日本料理店「てっぺん」をはじめ、これまでバンコクを中心に居酒屋やどんぶり店など8店舗を運営している大嶋俊矢さん。現在、従業員130人のうち、11人がミャンマー人です。

バンコクを中心に日本料理店などを経営する大嶋俊也さん(写真・本人提供)

バンコクに2013年に創業した当初から、ミャンマー人を採用していました。当時は、日本料理店で働いているミャンマー人は、まだ少なかったようです。バンコクに店を出店することを決めた後、いくつかのバンコクの日本料理店で修業をしたそうで、その中の1つであった「焼き鳥店」で働いていたミャンマー人の彼氏を紹介されたことがきっかけでした。

いくつかの店舗で修行している中で、どの店でも「ミャンマー人はまじめでよく働く」と評判になっていたため、創業当初からミャンマー人を採用し、彼は今では会社の中心メンバーとして働いています。

創業当初から、従業員はとくに人種を気にせず採用しており、現在もミャンマー人のほかにラオス人や韓国人、日本人が働いています。待遇も平等であるため、国籍間でのトラブルは一度も起こっていないそうです。

募集は主にSNSを利用していましたが、ビザの問題を抱える人も多いため、最近は従業員からの紹介のみ面接し、採用しています。店のことをよく理解している従業員の知り合いや親戚などの身内のほうが、長く働いてくれる傾向があるようです。

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