タイ人口の10分の1がミャンマー人になった理由 2021年クーデター後に人材の国外流出が拡大

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この徴兵はすべての国民が対象であり、富裕層であっても逃れることはできません。現在、徴兵対象の年齢に該当している人はもちろん、将来的に徴兵対象となりうる子供を持つ家庭も、不安を抱えています。

とくに、学校に通う子供たちの将来を心配した富裕層が、生活環境がミャンマーに近いタイへ家族全員で移住するケースが急増しているようです。

Media Intelligence Group(MIグループ)が行ったタイにおけるミャンマー労働者の行動調査によると、現在、タイには約680万人のミャンマー労働者がいるものの、労働許可を得ているのは約185万人にすぎず、多くは未登録労働者であるとも報告されています。

タイの10人に1人はミャンマー人という現実

タイ内務省の発表によると、2022年時点でタイの人口は6609万人です。つまり、タイの人口の10人に1人はミャンマー人という計算になります。

業種別では、ミャンマー人労働者の39%が製造業、18%が建設業、15%が販売サービス業、11%が農業に従事しています。9割近くの人が経済的な理由でタイに移住しており、ミャンマーでの月収が1000~5000バーツ(約4433円~約2万2177円)と非常に低いのに対し、タイでの月収は1万~1万5000バーツ(約4万4330円~約6万6552円)とされ、場合によってはミャンマーでの収入の10倍以上になることもあるようです。

タイは、ミャンマー人にとってブルーワーカーなどの出稼ぎの場でありましたが、クーデター、そして徴兵の施行に伴い、ミャンマー人富裕層だけでなく、生活の場としてタイを選ぶミャンマー人中間層も増え始め、新たな市場が形成されつつあります。

ミャンマー・シャン料理のお店「La La Shan Pyae」で働くミャンマー人従業員(写真・西垣充)

「バンコクには新たなビジネスチャンスが到来している!」と話すのは、居酒屋「しゃかりき」など、タイ・バンコクを中心にカンボジアやマレーシアなどを含め、計34店舗の飲食店を運営し、「タイの居酒屋王」とも呼ばれる清水友彦社長です。

清水社長が最近バンコク市内にオープンさせたのは日本料理店ではなく、シャン料理店です。シャン料理とは、ミャンマーの少数民族であるシャン族の料理で、納豆や豆腐、味噌などが使われており、日本人にも人気のある料理です。

きっかけは、ここ数カ月で急増している、バンコクに移住する富裕層のミャンマー人の存在です。清水社長によれば、ミャンマー人向けのカラオケ店やクラブなど、ミャンマー人富裕層をターゲットにした店舗がバンコクで次々と開店しているそうです。

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