空虚な「大阪都構想」、展望なき危ない賭け

全国一の生活保護者数 大きい区間の財政格差

木造アパートやマンション、小規模工場が混在する下町--。日雇い労働者の町として知られる、あいりん地区を抱える西成区選出の柳本顕・大阪市会議員は「大阪市が複数の基礎自治体に分割されたら、それぞれの自治体が本当に自立できるのか」と問いただす。区の施設や機能が必要になるし、区長も議員も置けば、行政コストが増える可能性すらある。さらに「(大阪市をバラバラにすれば必ず発生する)財政が豊かな区とそうでない区の財政格差をどのように調整するつもりなのか」(柳本市議)。

大阪市の生活保護受給者数は全国一。19人に1人に上る中、西成区は4人に1人と一段と厳しい。柳本市議は「この区にいるからこそ格差や貧困の問題を肌身で感じる。今の西成の問題は、新しくできる特別自治区では解決できない」と訴える。大阪市だからこそ一体的に行えてきたサービスが、大阪都になれば維持できなくなるとの見立てだ。今のところ、区割りは明確な具体案が出ていない。

これに対し、大阪維新の会は、財政調整制度によって各区の財政格差を解決するとしている。これは、東京23区と東京都で行われている方法に倣った制度だ。大阪府の「大都市制度検討協議会」で提案したモデルによると、現在の大阪市の収入分である固定資産税や法人市民税、特別土地保有税などを大阪都が徴収して都と区で配分する。配分割合は都39%、区61%。これにより中核市並みの財源を確保するという。

問題多い財政調整制度 税収潤沢な東京と隔り

だが、全区が納得する振り分けはできないだろう。税収の多い区ほど調整金を多く要求するのは必至。独立した自治体なら「なぜウチの区の税収で、ほかの区の面倒を見るのか」との声が出るのは当然だからだ。そのため、財源の奪い合いという火種が大阪に持ち込まれ、財政基盤の弱い区がつねに劣勢に立つのは明らかとみられている。

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