ひたちなか海浜鉄道「延伸計画」はどうなってる? 新型車両の導入についても吉田社長が明かす
しかしながら、新型コロナ感染症の拡大によって鉄道利用が低迷し、延伸工事の建設用機材や材料など物資も高騰したため、着工のタイミングが難しくなった。2年連続で工事許可の申請を伸ばし、延伸計画を見直すことになったが、これは消極的になってしまったというわけではなく、途中区間に大手企業の工場進出が決定し、新たに通勤などで同鉄道を利用する見込みが発生したことや、地方交通活性化法の改正など、政府の地方交通に対する考え方が前向きになったというプラスの要因がある。しっかりと足元を固めて、確実に実現できるように計画を見直したのだ。
延伸計画は、工事を2段階に分けてひたち海浜公園の南口に新駅を整備して、1.4kmを先行開業する予定だ。国営ひたち海浜公園は年間約200万人の観光客が訪れ、春にはネモフィラなどが見ごろとなり、現在でも阿字ヶ浦駅から臨時バスを運行するなど、多くの人が訪れる観光地になっている。
沿線では新たな宅地開発も予定されており、この区間が開業すれば観光と通勤と両方の需要を取り込むことができ、湊線自体の需要と収益の向上につながると考えられる。
今回は現場での延伸計画の確認と、先日報道発表された新たな車両の導入について、同社の吉田千秋社長にインタビューを行った。なお、インタビュー後から、現在までにいくつかの状況の変化があった。インタビュー後に変更された点についても記載しているので、ご確認いただきたい。
延伸工事はいつ始まるか
――延伸工事に入るのはいつか。また、工事に伴う列車運行ダイヤの変更はあるのか。
「工事施工認可が下り次第、着工準備に入ります。今年度中でしょうか。また、阿字ヶ浦駅の交換設備新設等の工事の際には、臨時にダイヤを変更する可能性もありますが、現時点では予定はありません」
――施工会社との打ち合わせなど、進捗は。
「実際の施工については、認可後入札等の手順を踏んでからになりますから、現時点では白紙状態です。認可にあたって、設計はしています」
――延伸に関係して、地元利用者の期待の声は? どんな内容があるのか。
「観光客の大幅増加による地域経済への好影響(おさかな市場や食事施設など)が、期待されています。また、延伸先では企業誘致が進められており、通勤輸送手段としての活用(通勤時の渋滞解消、安定した通勤輸送の確保)にも、期待が持たれています」
――ひたちなか海浜鉄道には2つの支援団体がある。湊線に対して今後どのように関わっていくのか。
「湊線を応援していただける各団体とは、今後も同じように良好な関係を続けたいと思います」
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