「異常なほどに焼き肉店が多い街」の真実

その文化をつくったのは山だった

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スーパーで売られている獣肉も種類が豊富だ
 

どこへ行っても焼き肉、焼き肉。なぜ、そこまで飯田市民は焼き肉が好きなのだろうか。飯田市職員が言う。「飯田市民は焼き肉だけでなく肉そのものが好きなんです」。飯田市では、クマやキジ、ウサギ、ヤギの肉まで販売するお店もある。狩猟で取れた山の獣肉を使った「ジビエ」という料理もある。

面積のおよそ84%が山間部の飯田市

そんな文化が根付いたのには理由がある。昔、飯田の人たちは山で生活し、山の産物で米や塩を買って暮らしてきた。飯田市は、面積のおよそ84%が山間部。特に山深い地域は、昔は交通網が発達しておらず、他の町へとつながるルートも乏しいうえ、農作物が育ちにくいという環境にあった。その中で、唯一豊富にあった資源が山肉。住民を支える貴重なタンパク源でもあったのだ。

「ジンギスカン愛」もすごい

飯田駅前のスーパーをのぞいてみた。ごくごく普通のスーパーながら、精肉コーナーには、「ししジンギスカン」「しかジンギスカン」「とりジンギスカン」など、ジンギスカンというキーワードがズラリと並ぶ。飯田市民は『焼き肉と言えばジンギスカン』というほど、ジンギスカンをよく食べる。

ただ、ちょっと待ってほしい。もともとは羊肉を焼いて食べるジンギスカンといえば北海道ではないのだろうか。調べてみると、ジンギスカンが広がったきっかけは、「満州の開拓」にあるようだという話が出てきた。

満州開拓。時は1932年。数多くの日本人が満州へ渡った。満州で食べられていた羊肉料理に触れた日本人は、未知なるおいしさに感動した。満州にわたった日本人の出身地を見ると県別では、長野県が最も多く、中でも飯田市周辺のエリアはダントツに多かった。そこでジンギスカンに触れた日本人たちが飯田市に帰り、広まったのでは、という説がある。

それまで飯田では肉を「煮て食べる」文化しかなかったが、このジンギスカンが広まったことをきっかけにして、肉を焼いて食べる文化が定着したそうだ。

これらは一説であり飯田で焼き肉が盛んになった本当の理由はほかにもあるかもしれない。ただ、焼き肉店や精肉店の数が日本一だという動かしがたい事実を説明するのには十分な材料だ。

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