ついにヤマトが上期赤字転落「値下げ戦略」で窮地 4期連続減益"負のスパイラル"招いた強気計画

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ネットワークの構造改革について、ヤマトは前期も、その前の期も「効果が出てきている」と説明してきた。数年間をかけ投資した以上の効果を出していく構えだが、業績は前述のとおり厳しい。より明確な成果が求められるフェーズといえそうだ。

一方、ヤマトは攻めのM&Aも打ち出した。ロジスティクス事業の強化に向けて、3PL(物流業務の一括受託)や不動産事業を展開するナカノ商会を12月に買収する。

ナカノ商会は1988年に設立、アマゾンの物流センター業務や拠点間の輸送を担当し、急成長してきた会社だ。近年のヤマトは倉庫と配送ネットワークを組み合わせた提案で法人顧客の獲得に力を入れている。ナカノ商会からノウハウを獲得し、配送面でのシナジーも狙う。

買収額は469億円。純資産との差額であるのれんは約380億円になる。償却年数は未定だが、ナカノ商会は2023年9月期に46億円の営業利益を計上している。多少なりとも利益貢献はありそうだ。

難しい舵取り

鹿妻氏は10月からヤマトのロジスティクス事業を統括する役割となっている。ロジスティクスはヤマトの成長戦略の一つ。鹿妻氏はナカノ商会との連携含め、引き続き重責を担うことになる。

4期連続の営業減益、下方修正となり、利益率も大幅に低下したヤマト。構造改革の途上とはいえ、長尾裕社長を含め経営陣の責任を指摘されかねない事態だ。新規顧客の開拓と採算、改革の成果と投資費用のバランスなど、極めて難しい舵取りが続きそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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