自死の道を選んだ「就職氷河期世代」の夢と現実 36歳で早逝した早稲田OBに何が起きたのか

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就職氷河期世代とは、バブル経済が崩壊し新卒採用枠が激減した時期に就活を経験した世代を指す。一般的な定義では、1993年から2004年に大学・大学院の卒業・修了を迎えた世代とされる。岩井と筆者は、就職氷河期世代の中心層から少し外れている。

ところが、世界的な金融危機リーマンショックが起きた2008年以降の数年間、一時回復していた就職率は「氷河期逆戻り」と呼ばれるほどの低水準に落ち込んだ。そのため、ちょうど筆者が就活をしていた時期には、「100社近く履歴書を送っても、面接で落ちまくり1社も内定をもらえなかった」など就職氷河期と酷似する悲惨な経験談を聞いた。

心労に気づけなかった

かくいう筆者も入社試験を受けたほとんどの会社で不採用となった口だ。不採用通知を受け取るたびに「社会で必要とされていない人間」と烙印を押されたような気持ちになり、就職戦線からは途中で離脱した。人生の路頭に迷いかけたとき、東日本大震災が発生し、海外の報道機関で働く機会を得た。実力で職を得たのではない。すべては人との縁と偶然のおかげだ。

岩井聡輝が眠る墓(写真:筆者撮影)

当時は、自分の働く場所を確保するのに必死で、就活で苦労する友人の悩みを聞く精神的な余裕はなかった。油断すれば自分も就労の機会を失う。親しい間柄だったはずの岩井が抱えていた心労に、筆者はまったく気づかなかった。

社会人経験を積んだ後に大学へ入学した岩井は、卒業時点ですでに29歳だった。年齢を理由に書類選考で落とされ、表情が浮かない岩井を目撃していた知人がいた。

就活へ向けた準備が本格化し出す大学3年の春、心の病を発症。症状が軽快し一度は内定を得たが、卒業直前に再発し内定を辞退せざるをえなかったという。就活で悩んでいた時期の岩井をよく知るYは後悔の念をこう吐露する。

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