独身で養子を迎えた彼女「親には言わなかった」訳 韓国で独身者が養子を迎えるのに必要なこと

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彼らはどうして非婚者が養親になることに同意してくれたのだろう? たとえひとり親家庭に偏見がないとしても、わざわざ非婚の養親希望者を好む理由はない。むしろ、未婚のまま出産した母親が「自分ひとりで育てるよりも両親がそろった家庭のほうが子どものためになる」と考えて、わが子を養子に出すことのほうが多いはずだ。

もしかしたら父親にあまりいい記憶がなくて、非婚女性の元に養子に出したほうがいいと判断した可能性もなくはないけれど、実際のところは早く養子縁組先を見つけたかったのだと思う。社会福祉士の話によると、娘たちは他の養親候補者に養子縁組を断られたことがあったらしい。

わたしより先に娘たちと出会った養親希望者は、かわいらしくて元気いっぱいな2人をどうして引き取らなかったのだろう? 韓国では、養子縁組の事実を隠したがる傾向があるからかもしれない。

生みの親の学歴や経歴にこだわる養親希望者も

自分が産んだ子として育てようと考えている人は、血液型が同じ子や外見が似ている子を選ぶ。生みの親の学歴や経歴にこだわる養親希望者もいるらしい。未婚出産でも子どもの父親にあたる男性が高学歴で専門職に就いているとか、犯罪歴がなく、あらゆる面において条件のいい親から生まれた子どもが好まれるという。

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養子縁組機関では、養親希望者に養子候補となる子どもの基本情報を教えてくれる。もちろん、生みの親の特定につながる情報は除外されるけれど。養親がどうしても偏見を捨てられないせいで、あとから縁組成立に問題が生じるくらいなら、子どものバックグラウンドをあらかじめ知らせておいたほうがお互いのためだろう。

養子縁組機関やリーフレット、記事などを通して知った、子どもを養子に出す実親の事情は似たようなものが多かった。成長期の家庭崩壊、これに前後する親の放任や虐待、学校の中退と家出、異性との同棲、望まない妊娠がお決まりのように続く。

親との関係に問題がある女性は、異性に依存することになりやすい。その結果、安定した家庭を築けない男性と交際したり、次々と恋人を変えたりといった悪循環が生まれる。こうした内情を知ると、どうして自分で子どもを育てないのかとは言えなくなる。彼らに必要なのは、家を出て経済的に自立することではなく、心の安定だったのかもしれない。

日本において特別養子縁組制度は配偶者のいる人に限られていますが、一定の要件を満たしていれば、独身者でも里親になることは可能です。

(前編:独身で養子迎えた韓国人の彼女が語る率直な理由

(翻訳:藤田麗子)

ペク・ジソン 編集者

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ぺく・じそん / Peku Jison

出版社トタルンウジュ(もう一つの宇宙)代表。20年間、編集者としてさまざまな組織での勤務を経て、2022年に出版社を設立。中国最後の母系社会として知られるモソ族に関する記事を読んだことをきっかけに現代版・母系家族の可能性を夢見るようになり、2010年と2013年に女児を養子縁組して育てている。2人の娘と一緒に世の中を学びながら、新たな知識と経験を積み重ねていくことに心をときめかせている。著書に『経済経営本の作り方』(2020年、未邦訳)、訳書に『少女たちの感情レッスン』(原題:YOU DON’T UNDERSTAND ME、タラ・ポーター著、2024年、未邦訳)がある。

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