しかし取材の中で、M4チップだからといって現段階でApple Intelligenceでより多くの機能が使えるわけではないことが明らかになった。同様に、M1チップだからといって、機能に制限がかかるわけでもない。
ただし、その実行速度、反応速度については、違いが出てくるという。例えるなら、M1チップで0.2秒で反応が返ってくる処理を、M4チップでは0.1秒で済む、というレベルだそうだ。
アップルは、この0.1秒の速度向上に対して、大きな価値があると考えているのだろう。
日常的にAIを使う未来
アップルはMac上で、日常的に、文章の要約や構成、フォーマルやカジュアルなどの文体の変更、画像や絵文字の生成などをこなすようになる未来を想定している。
Apple Intelligenceは、Mac上に言語モデルを読み込み、多くの処理をクラウド上のサーバーを使わずに処理するため、Macのチップの処理速度が、生成AIの快適さに大きく影響を与えることになる。
ちなみに、ネットワークにデータを送って処理をし、その回答を表示する他のクラウドを生かした生成AIに比べると、テキスト処理やイラスト・絵文字生成は、格段に速い反応速度を誇る。ここは、圧倒的な快適さがあった。
そのうえで、アップルは前述のように、M4チップで、0.1秒の快適さを追求している。アップルはそれだけ、Macの上で、生成AIがカジュアルに、日常的に、そして頻繁に使われていく未来を想定しているのだろう。
だからこそ、0.1秒でも素早く反応することが重要であるし、待たせた瞬間に顧客が感じるApple Intelligenceに対する賢さが半減する、とすら考えているのかもしれない。
ただし、AI性能強化は、Apple Intelligenceだけの話ではない。サードパーティーのアプリでも、機械学習処理によって作業を劇的に簡略化するアイデアがあふれはじめた。
例えば動画編集では、横長の動画を被写体を認識して自動的に縦動画に変換したり、画像の補正や修正を提案したり、文章から最適な画像を作り出すーー。
となると、近い将来の我々のコンピューター環境は、複数の生成AIや機械学習処理が同時並行的に動作しながら、やりたいこと、作り出したいことを支えてくれる、そんな姿へと変化していく。
M4搭載のMacは、そんなあらゆる人がAIを生かす未来に備えた製品、と位置付けることができるだろう。
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