奥行き12m「カステラハウス」工夫満載の快適空間 スペースを開放して近所の人たちの憩いの場に

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住み始めてわかった小さな困りごともあるという。

1つは夏の西陽が玄関ドアを照らし続けていると、建物が鉄製だけに室内側ドア近辺もかなり暑くなってしまうこと。もう1つは、窓に庇(ひさし)がないので、直射日光が入りやすくまぶしかったり、小雨でも窓が開けられなかったりすること。

この2つは今後なんとかしたいとのこと。

カステラハウスが近所の人の憩いの場に

私が提案した解決策は、まずは玄関ドアに遮熱塗料を塗ることだ。できれば外壁や屋根面にも塗るのがいい。これで夏の室温が今より4度ほど下がるはずだ。

また、玄関ポーチの庇下(ひさしした)にタープや簾を引き、さらに庇の先端から地面に向かってルーバー状の日避けを設置すると、より効果的な熱対策となる。

『人気建築家と考える50代からの家』書影
『人気建築家と考える50代からの家』(草思社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

窓の直射日光については、追加工事となるが、窓の外に長めの庇を取り付けて陽差しを遮るという提案をした。

余談であるが、同行した知人はお土産にと老舗の高級カステラを持参していた。それがKさんのコンテナハウスにそっくりだったので、「まるでカステラみたいですね」と冗談を言うと、いたく気に入られた様子で「カステラハウス」と命名された。

それから1年ほどが経ったつい先日のこと。

「この秋、ようやく図書館をオープンできることになりました」という便りをいただいた。

「カステラハウス」は今頃、近所の子どもたちと、そのお母さんたちがひと息つける憩いの場所になっているはずだ。

コンテナハウス
雨や直射日光による暑さをしのぐため玄関と寝室の窓に庇を設置した(写真:『人気建築家と考える 50代からの家』より)
湯山 重行 建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表

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ゆやま しげゆき / Shigeyuki Yuyama

1964年神奈川県生まれ。リゾートでヴァカンスを楽しむように暮らせる「ホーム・ヴァカンス」をテーマに、開放感あふれる家づくりを得意としている。2016年に発表したシニア世代のための小ぶりな平屋「60ハウス(ロクマルハウス)」がテレビなどで話題となり、独自の視点と語り口で講演会やセミナーでも人気に。著書に『60歳で家を建てる』(毎日新聞出版)、『60歳からの家』(エクスナレッジ)などがある。

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