奥行き12m「カステラハウス」工夫満載の快適空間 スペースを開放して近所の人たちの憩いの場に

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最寄り駅で待ち合わせ、車でしばらく走ること40分あまり、鮮やかなグリーンの箱が見えてきた。コンテナを2つ縦に並べた存在感ある佇まいは、一見すると雑貨屋さんかカフェかと見間違うほどだ。

コンテナハウスに1人で暮らすKさんは、48歳のときに乳がんが見つかった。幸いにも寛解し、保険で少しまとまったお金が手元に入ってきたこともあり、昔からぼんやりと考えていた夢を具体化したいと思い始めたという。

「いつ病気が再発するかもわからないし、このお金を何か有意義なことに使えないかな?と考えて。家には子どもの頃から好きで集めていた本や、仕事の資料として手に入れたいろんなジャンルの本があったので、それを開放して、近所の人が立ち寄れるちょっとしたコミュニティスペースにできたらいいなぁと」

700万円の提示額が1300万円に

ちょうど2018年で、翌年には消費税が上がるタイミングだったこともあり、動くなら今だ!と私設図書館を併設できる自宅を建てる決意をした。

実家が所有する土地を利用するので土地代はゼロだが、もとは茶畑だったことから整地が必要だった。

その費用と建築後の引っ越し代、家財の購入代を計算すると、建物本体にかけられる予算は税抜きで約1000万円。材料費や工費が高騰している現在では、さすがにこの金額に収めるのは無理だが、2018年当時でも結構厳しい予算だったはずだ。

実際、工務店に延べ床面積50平方メートルのコンパクトな平屋を見積もってもらったが、建物本体だけで1400万円と提示された。

そんなときに見つけたのが、低コストを売りにするコンテナハウスの広告だった。

早速、業者に連絡をしてみると、なんと「頑張れば700万円でできますよ」との返事が。しかもコンテナ2つをL字に配置して、住居スペースと図書館スペースを分けることまでできるらしい。

すっかりその気になったKさんだが、それも束の間の夢。設計後、改めて提示された金額は1300万円、またもや予算オーバーとなってしまった。

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