一方で、ロシア極東・ウスリースク近郊の工場では、北朝鮮の生産機材を使った弾薬生産プラントが稼働中と韓国紙が報道している。これによれば、ロシアでは老朽化して動かない砲弾生産機材を北朝鮮が現役で使っており、その機械を輸送して生産に入ったといった情報がある。
話はそれるが、仮にロシア海軍艦艇が数回北朝鮮と往復したのであれば、兵士の代わりにロシアが北朝鮮に何かを持ってきた可能性がなくはない。もしそれが核開発やミサイル開発にかかわるもの、あるいは原子力潜水艦の建造に核心的なものを輸送したのであれば、将来的には東アジアの安全保障に深刻な影響を及ぼしかねないことを留意しておくべきだろう。
話を戻す。ロシアにいるとされる北朝鮮兵士については、北朝鮮やロシアからは、以下のような話が聞こえてくる。
ウクライナ情報当局がSNS上で発表した兵士たちの姿は、韓国の情報当局が流した北朝鮮の精鋭部隊「暴風部隊」ではないという見方が多数だ。これは、人民軍に従事した北朝鮮からの脱北者たちが、自らの経験を元にそんな声を上げている。
北朝鮮兵士がロシア軍と一緒に戦えるのか
またロシアが必要なのは戦場で有効な大口径の砲弾であって、外国人からの「兵士」は必ずしも必要ではないとの見方がある。ウクライナ側が伝えるように北朝鮮兵士が戦場、あるいは戦場付近にいるのであれば、それはミサイルなどの兵器を実験・評価するために派遣された技術専門の将兵であり、規模も当然小さく、戦局には大きな変化を与えるものではないという。
ただ、北朝鮮が今後、大量の砲弾を送ることができれば、それはロシア軍にとって価値が出てくるだろう。
さらに、兵士が枯渇しているから苦肉の策として北朝鮮から派兵してもらったという見方があるが、一方のロシアでは「クルスクやドンバスなどの戦場では、兵士が足りないということはない」という政府関係者からの声も聞こえる。
ちなみに、「ブリヤート大隊」なる部隊が結成されたという情報については、北朝鮮の関係者らは一笑に付す。いくらモンゴル北部・ロシア領内のブリヤート共和国に住むモンゴル系住民が北朝鮮の兵士に顔格好が似ていたとしても、そんな偽装は北朝鮮側が好まない、というわけだ。
現段階では、派遣された北朝鮮兵士が戦闘要員なのか、あるいは工兵要員なのかがまだ断定できない。もし戦闘要員であれば「ロシアにとっては実戦では使いづらいだろう」とロシアの関係者は言う。それは、まずは言語の違いのためだ。
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