子どもを被曝から救え! 福島市・放射線汚染地帯の住民が避難プロジェクト開始
せめて子どもと妊婦だけでも一時的な避難を--。福島市内でも特に空間放射線量の高い渡利地区で、子どもや妊婦を線量の低い地域へ一時的に避難させるプロジェクトが立ち上がった。
複数の市民団体などで運営する「わたり土湯温泉ぽかぽかプロジェクト」では、一時的な避難を希望する渡利地区の親子を、福島市西部に位置する土湯温泉の旅館に週日や週末滞在させる。現在、土湯にある旅館などと協議中で、まずは1月下旬から3月上旬の実施を目指す。
今回のプロジェクトでは営業中旅館の空室を利用する考えだが、今後は震災後に廃業した旅館を利用する案も出ている。利用者が週日や週末のみ、もしくは通しなど柔軟に宿泊できるプランを想定。渡利~土湯間で往復バスを運行することも検討しており、実現すれば土湯から渡利にある学校へ通うことも可能になる。
3月下旬までに寄付などを通じて宿泊ほかに必要な1000万円を募る方針だが、県や市の助成金制度を利用できないかも探る。
渡利地区の住民が自ら立ち上がった背景には、これまで再三政府に対して避難区域への指定を求めてきたにもかかわらず、認められていないことがある。
同地区では6月に福島市が空間線量を調査したところ、一部地域で毎時3~4マイクロシーベルトという高い線量を記録した。が、その後国も詳細調査を行うものの、避難区域には指定されず、代わりに除染モデル事業の対象となった。
■国際環境NGO FoE Japanが9月に行った調査では依然、空間線量の高い地域があることが判明した