給食の「あの定番デザート」作る中小企業の"強さ" 超ロングセラー・アップルシャーベットの舞台裏
―なるほど……! 子どもの頃っておやつのちょっとしたサイズ感の違いもすごく気になってましたね。
味のうえでも人の手のほうがいいんですよ。カットした後に芯と種の部分をくり抜くんですけど、ちょっとでも種や芯が残っていたらおいしさを損なってしまいます。どれぐらいくり抜くかは個体差があるので、機械だけでは処理しきれなかったのも実情です。
―きれいにカットしたり、種や芯を取るといった地道な工程を大切にしているからこそ、みんなに長く愛されるデザートになっているんですね。
ありがとうございます。私自身も給食でアップルシャーベットが出た日は嬉しかったですね。休みの子がいて数が余った時はじゃんけんで争奪戦になっていました(笑)。今でも懐かしいと買ってくださる方がいるのは、給食での思い出があるからでしょうね。
福島の会社だが、千葉や埼玉などに多く出荷
―通販をしていることを知って、喜んでいる人をSNSで見かけますよ。
実は親の会社が作っていることを知らなくて、小学校高学年の頃の担任の先生が「これお前んとこで作ってんだぞ」って言われてものすごくびっくりした記憶があります。
―まさか知らなかったとは!
弊社は当時から「ガリガリ君」で知られている赤城乳業の下請けをやっていまして、私もアイスを作っていることは知っていたんですけど、それ以外の商品はよく知りませんでした。
余談ですが、トーニチは福島の会社ですが、実は福島での知名度はそんなに高くないんです。商品の出荷先としても福島は全体の売り上げの2%と非常に少なくて。
―地元で少ないのは意外でした。
アップルシャーベットも、福島よりもほかの地域のほうがよく知られています。卸先は断トツが千葉で、2位が埼玉、新潟、岡山あたりです。学校給食に採用されているのは、弊社が営業活動をできた東北や関東エリアあたりまでが基本ですが、岡山のように離れたエリアでも卸さんからお声がけいただいて取引している例もあります。
―アップルシャーベットは今年で43周年ですが、一番売れた時期はいつでしょう?
学校給食用デザートの種類が少なかった時代に一番売れたので、発売当時だと思います。
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