給食の「あの定番デザート」作る中小企業の"強さ" 超ロングセラー・アップルシャーベットの舞台裏

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まず大前提として、学校給食用デザートは何百食、何千食という単位で必要なので大量納品に対応できる商品でなくてはいけません。今でこそゼリーやプリン、焼き菓子など給食デザートは多種多様ですが、昭和50年代当時は冷凍みかんぐらいと限られていたようです。

そこで「冷凍みかん以外のデザートを作れないか」と相談されて開発したのがアップルシャーベットだったようです。

製法、りんごの品種…様々なこだわりがある

―どんな風に作っているんですか?

東北産の紅玉という品種のりんごを皮付きのままカットして、特殊製法でシロップを染み込ませて作っています。

りんごには小さな穴が無数にあって、大きな玉のような機械にりんごと温度60℃のシロップを入れて、圧力をかけたり抜いたりしながらこの穴の部分にまでシロップを浸透させて作っています。

―果物の内側にもシロップの甘みが染み込んでいるんですね! 

シロップの甘みとりんごのフレッシュ感がおいしさの決め手です。熱を加えると缶詰の煮りんごと同じ風味になってしまうので、60℃のシロップを使う工程以外では加熱していません。

紅玉を使っているのもポイントで、酸味がしっかりしているので、シロップの甘さと引き立て合うんですよ。これが生で食べておいしいふじなどの品種だと、ただ甘ったるいだけのメリハリのない味になってしまいます。

アップルシャーベット
鮮やかな皮の色も美しいアップルシャーベット(著者撮影)

―紅玉は皮も鮮やかな赤色できれいですね。

見た目もいいですし、皮は栄養もおいしさもあるのでむいてしまうのはもったいないですよ。

弊社では、きれいでおいしそうな商品に仕上げるために、りんごをカットする作業は今でも人の手で行っています。りんごの皮は小さな傷や黒い点々が付いているので、一つの商品に集中しないように人の目で見てカットする必要がありまして。

そして何より、大きさを揃えるうえでも人の手が欠かせません。学校給食では隣の子とサイズ感が違うことは大問題でして……。ケンカになってしまいますからね。りんごは3つ割り、4つ割りにしているのですが、できる限り同じサイズになるように見ながら切る作業は人の手に頼る必要があります。

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