前出の下崎部長は、開発の背景をそう説明する。それでも、パワートレインによって多少の個性(差)が生まれるのは、いたしかたないところ。下崎部長は「自分の好みでは……」と好きなモデルを教えてくれたが、乗る人は自分の使用環境に応じて決めていったほうがいいだろう。
たとえば、ランニングコスト。PHEVは、モーターだけで67kmの走行が可能で、WLTCモード燃費は12.9km/L。ディーゼルは、マイルドハイブリッドが19.1km/Lで、ハイブリッド機構のないタイプが18.3km/Lというぐあい。
売れ行きについては、価格面でも買い得度を感じられる「ディーゼルXDが半分以上を占めるのでは」と柴田主査。
運転していて興味深かったのは、マイルドハイブリッドを搭載するXD-HYBRIDの走行感覚で、モーターの存在感が希薄だった。マイルドハイブリッドは発進時、トルク増強のためにモーターを使うのだが、モーター独特のトルク感が感じられないのだ。
「モーターの加速感をしっかり出すメーカーもありますが、それとエンジンがかかったときのギャップなど、ドライバーに違和感を抱かせてはいけないというのが、マツダの考え。エンジン車の感覚を大事にしました」(柴田主査)
“こだわり”が評価されマツダの販売は上々
操縦性だけでなく、いたるところに“こだわり”を見せる。これこそ、マツダが生き残っていくために必要なことなのだろう。
スバル好きの人のことをスバリストと言うが、マツダイストとかマツダーとは言わない。でも、世に確実に存在するマツダファンは、CX-80の開発背景を聞くとうれしくなるはずだ。
もっとも、同社にとって最重要なアメリカ市場では、2023年に前年比123%という販売台数を記録している。
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