競合ひしめく「XRデバイス」に挑戦するパナの勝算 アップル、Metaが"目指さない"産業特化型で参入

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多くの企業やクリエイター、開発者などがこのジャンルに注目しているにもかかわらず、まだすぐに市場が立ち上がる状況にはない。

Metaは毎年1兆円規模の研究開発投資を10年間続けてきた。アップルも研究開発投資の内訳は明らかにしていないが、Apple Vision Proの開発やプロモーションには同等、あるいはそれ以上の予算をかけているとみられる。

加えてもう1社、IT業界の巨人グーグルもクアルコム、サムスンと共に年内、XRデバイスの発表を控えている。Android XRと名付けられる新しいGoogleのプラットフォームは、来年には他パートナーに公開され、より多くの参入が見込まれる。

今まさにXR業界は、かつてスマートフォンが台頭し始めようとしていた“スマホイノベーション前夜”を彷彿とさせる状況だ。

一方で“現在”という時間軸で言えば、巨額を投じているアップルやMetaも含め、“苦戦している”のが現状だ。

MetaのXRジャンルにおける累積損失は、創業者自身が舵を取る同社でなければ許容できないものと言えるし、アップルも事業立ち上げの初期段階とは言え、市場での存在感を示すには至っていない。

それでも各社が巨額投資を行うのは、“スマートフォン時代の次”で、プラットフォームを担うことを目指しているからだ。

とはいえ、パナソニックはプラットフォーム支配を狙うガリバーと新しい市場ジャンルを作り上げることを狙っているわけではない。

グローバルでニーズのある、ほかの解決策では代替できない領域に絞り込み、徹底して最適化することで、まだマスへの広がりが期待できない時期からノウハウと顧客へのプレゼンスの確保を狙っているのだ。

“汎用”ではなくあえて“専用”に

パナソニック システムネットワークス開発研究所の小塚雅之氏は、「自動車業界向けにデザイン/開発、製造、販売の各段階でのVR活用を提案し、大きな可能性を共有できていました。中でも“デジタルツイン(バーチャル設計・製造)”は今すぐに成立している領域です。この領域でライバルを圧倒する“必須と言えるVR機器”の地位を確立することを目指しました」と話す。

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装着感は非常に快適だった(写真:筆者撮影)
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