世界よ、これがパナソニックの家電戦略だ 津賀社長が独IFAで語った海外攻勢の全容
――今回、有機ELテレビ投入を発表した狙いは?
有機EL投入には、いろいろな理由がある。今まで最先端商品は自社のパネルで出そうとしていた。それはプラズマテレビでも、液晶テレビでもそう。だが、今回は他社のパネルを使った。他社と協業して他社を超えるテレビを作るということは、パナソニックというブランドがよりお客様を向いた証しだと思う。
ハイエンドテレビをどういう形で出すかが、プラズマテレビ撤退後の大きなテーマだった。それを他社との協業によって実現したのは、新しいチャレンジとして意味があることだ。高額商品なので何台売れるかはわからないが、事業として継続していけるくらいの台数をさばければ、と思う。
IoTの流れはどこかで破綻する
――IoT(モノのインターネット)を打ち出したスマート家電やウェアラブル機器など、斬新さを打ち出している中国、韓国メーカーをどう見ているのか。
「技術を先行させて、技術で新しい世界を出しますよ」と言うのは簡単だが、その世界は皆ができる世界。だからあまり関心がない。むしろ、本当にお客様目線に立った新商品、サービスが何なのかというところを深掘りしていくことに関心がある。
究極的には、家の中のあらゆるものがネットにつながるというものだが、それを訴求していくのは難しい。自動車は買い換えればその中のすべてが置き換えられるが、家は家電の買い替えサイクルがまちまち。お客さんの立場に立つと「なんで家電を全部買い換えて、IoT接続しなければいけないのか」というところに説明がつかない。すると、個別の家電の価値が問われる。
われわれも日本を中心に冷蔵庫やエアコンをネットにつないだりしているが、決め手となるものが見いだせていない。他社のブースを見てもそうだ。そうした動きはどこかで破綻するのではないか。なので、われわれは技術を深掘りする形でやっていく。
ベースとなるのはコードレス技術だ。パナソニックにはコードレス電話で培ってきた信頼・ノウハウがあるので、それをIoTの世界で活かしていきたい。ホームモニタリングシステムを全世界で展開していく。今回も保険会社のアリアンツとの協業を発表させていただいた。
――欧州家電市場に進出してから6年目。手応えはどうか。
小型と大型とで違う。正直、大型の冷蔵庫や洗濯機といった領域はまだまだ。ただ、この分野は2013年に提携したスロベニアの家電メーカー、ゴレーネとの協業がうまくいき始めている。その成果を持ってこないと欧州、特にドイツでは時間がかかる。
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