欧州系航空会社で「中国路線」縮小が相次ぐ事情 ロシア迂回でコスト高、中国勢と競争にならず

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縮小

さらに、中国系航空会社との競争激化が追い打ちをかけた。中国系航空会社はロシアの制裁対象ではないため、中国とヨーロッパを最短距離で結ぶことができる。ヨーロッパ系航空会社は、所要時間と運航コストの両面で勝負にならないのが実情だ。

中国系航空会社は大量導入した大型旅客機を持て余している。写真は中国国際航空に納入された30機目のエアバスA350型機(中国国際航空のウェブサイトより)

それだけではない。中国発着の国際線の旅客数は、現状ではまだコロナ前の水準まで回復していない。そのため、「中国系航空会社は保有する大型旅客機を持て余している」と、ある業界関係者は指摘する。

航空会社にとっては、あえて運賃を下げてでも旅客機の稼働率と搭乗率を上げたほうが、余剰機材を遊ばせておくよりも損失が小さい。中国系航空会社がヨーロッパ路線の増便と価格競争に走ったのは、その意味では当然の経営判断だった。

欧州系のロビー活動に懸念

だが、中国の航空業界内にはここにきて新たな不安が芽生えている。中国路線の縮小に追い込まれたヨーロッパ系航空会社が増えるとともに、中国系航空会社への風当たりがヨーロッパで強まりかねないことだ。

「ヨーロッパの航空会社はロシア領空から締め出されているのに、中国の航空会社はそうではない。これは不公平な競争だ」。KLMオランダ航空のマルヤン・リンテルCEO(最高経営責任者)は10月初旬、現地メディアの取材に対してそう不満を漏らした。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

こうした状況について、ある中国の業界関係者は次のように懸念を示した。

「ヨーロッパ系航空会社がEU(欧州連合)に対するロビー活動を強めれば、EU各国(の航空当局)が発着枠の制限などさまざまな手段を通じて、中国系航空会社に圧力をかける可能性が否定できない」

(財新記者:鄒曉桐)
※原文の配信は10月12日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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