中国発の激安EC「Temu」、急成長持続に不安と期待 運営母体「拼多多」の株価がナスダックで乱高下

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それだけではない。4~6月期の決算説明会では、拼多多の董事長兼共同CEO(会長兼共同最高経営責任者)を務める陳磊氏から予期せぬ弱気の発言が飛び出し、投資家の狼狽売りに拍車をかけた。

「拼多多を取り巻く経営環境は急速に変化しており、(業績変動の幅が大きくなるような)不確実性が増した。わが社が直面する競争は激しくなる一方だ」

陳氏はそう前置きしたうえで、「これまでのような急成長は持続不可能であり、(競争が激化する中で)利益率の低下傾向は避けられない」と述べたのである。

アメリカ政府は中国発の越境ECの急浸透に警戒を隠さない。写真はアメリカの国内産業を支援する法案に署名するバイデン大統領(アメリカ商務省のウェブサイトより)

ここで言う経営環境の変化には、Temuに代表される中国発の越境ECサービスに対して、進出先の複数の国々で風当たりが強まっていることが含まれる。外国政府による保護貿易主義の台頭は、Temuの将来を左右する最大級のリスクと言っても過言ではない。

関税の「抜け穴」利用に批判

「中国企業が海外で製品を販売する場合には、直売よりも(地場の流通業者を介在させる)卸売りのほうが相対的に安全だ。なぜなら、直売方式は現地の人々の雇用を奪うことになりかねないからだ」

ある機関投資家は財新記者の取材に対してそう述べ、Temuのような直売方式の越境ECサービスは保護貿易主義の影響を受けやすいと指摘した。

例えばアメリカ議会の議員たちは、個人宛て小口貨物の関税を免除する特例措置をTemuが「抜け穴」として使い、莫大な関税を回避していると批判している。これを受けて、アメリカのバイデン政権は2024年9月、特例措置を見直すと発表した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

こうした逆風が強まる中、Temuは今後も成長を維持できるのだろうか。最近の株価の回復を見る限り、市場は短期的には楽観視しているようだ。

「進出先の雇用や利益に配慮し、保護貿易主義の影響を抑えることができれば、さらなる成長を疑う余地はない」。前出の機関投資家はそう述べ、Temuは今後の成長戦略を慎重に進めると予想した。

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は10月11日

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