日本の中小企業を襲う「後継者不足」という大問題 70歳を超える経営者の約半数が「後継者未定」

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M&Aによる事業承継のメリットとデメリットとしては、次のことがあげられます。

〈メリット〉
・後継者(譲渡先企業)を親族間や社内ではなく、広く外部に求めることができる
・オーナー経営者は創業者利益を得ることができる
・銀行への個人保証や担保の提供から解放される
・会社は継続し、さらに成長させていくことも可能になる
〈デメリット〉

・希望に合った相手を自力で見つけて、交渉していくのは難しい
・M&A後のPMI(企業同士の文化やシステムも含めた経営統合)に時間がかかる場合がある
・従業員の離脱、退職が起きる場合がある
・ステークホルダーの理解をすぐに得られない場合もある
『経営者のゴール: M&Aで会社を売却すること、その後の人生のこと』書影
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経営者人生に終わりがあるように、会社自体にも寿命があります。以前は、会社の寿命は30年といわれた時代がありました。これは、1983(昭和58)年に発行された雑誌『日経ビジネス』の記事が元になっているといわれていますが、実際のところ、現在では会社の寿命はさらに短くなっているようです。

東京商工リサーチが公表しているデータによると、2022年の全国の企業倒産件数(負債1000万円以上)は6428件で、平均寿命は23.3年(前年は23.8年)。産業別で見ると、最長が製造業の35.7年(前年36.3年)、次いで卸売業27.9年(同28.6年)、運輸業26.2年(同24.1年)、小売業23.9年(同23.1年)、農・林・漁・鉱業23.1年(同20.3年)、最短は金融.保険業の12.5年(同15.7年)になっています。

企業の終身雇用が崩壊したことによって、新卒で働き始めた人が40年弱働き続ける保証がなくなったことも要因かもしれません。

後継者難による倒産も増えていく?

また、後継者不在のために「後継者難倒産」に至るケースも出てきています。帝国データバンクのデータでは、2023年の後継者難倒産の件数は564件で、前年の476件から18.5%増加しています。今後ますます増加していくことが懸念されています。

後継者難倒産の理由としては、次のケースがあげられています。

・経営状況が厳しく後継者が事業承継をためらった
・経営者の病気や死亡
・後継者が引き継いだものの、事業継続が困難になった
・後継者の育成がうまくいかず、承継完了が間に合わなかった

これらの理由を見ると、倒産する前に経営者の方ができたはずのこと、するべきだったことが見えてきます。それは将来の事業承継を見据えて早目に準備を進めること、そしてM&Aを上手に活用して事業承継を成功のうちに完了することです。会社を継がせると決めたなら、早目の準備が欠かせないのです。

芳子 ビューエル アルトスター代表取締役、北欧流ワークライフデザイナー

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よしこ びゅーえる / Yoshiko Buell

アルトスター代表取締役、 アイデン代表取締役。ウェルビーイングアドバイザー、北欧流ワークライフデザイナー。1989年に創業したアペックスでは、働きながら子育てができる環境を整えることを推進。自身も3人の子供を育てながらM&Aも実現し、2020年の退任時点で、年商約44億円の企業に成長させた。

一方で1998年にJERTOから派遣されて以来北欧とゆかりが深く、デンマークのライフスタイル「ヒュッゲ」をいち早く日本に紹介。テレビや雑誌等でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介しているほか、「ウェルビーイングアドバイザー」としての活動も行う。

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