「核戦争を止めている」ことこそ被団協の最大功績 ノーベル平和賞受賞、若い世代にどう継承するか

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彼女は現在21歳。2024年5月、同国南部のマルメでパレスチナ・ガザ区侵攻のイスラエルに対する1万人以上の抗議デモ行進が行われ、グレタさんも参加した。グレタさんらの活動とは「持続可能な開発目標」(SDG)への取り組みにもつながっている。

被団協の授賞理由文は「アルフレッド・ノーベルのビジョンの核心は、献身的な個人が変化をもたらすことができるという信念である」と説いている。反核も環境保護も、究極は個人個人が地球と人類を救うおうと決意するところから始まるのだ。

試される石破首相の決意と外交力量

その意味で、石破茂首相には、核廃絶前進への日本国民の決意を国際社会で有効に反映させる個人としての外交力量が試される。日米同盟の堅持は自民党だけでなく立憲民主党ほか多くの野党の政策でもある。国民の大半もこれを支持している。

この現実に立脚して石破氏は日米同盟を堅持しつつも中国、ロシア、北朝鮮との間にアメリカとは別の外交空間を開き、日本の国益とこれら3国の国益との共通基盤を固めていくべきだろう。

党内保守派の反目もあり、容易な作業ではないが、説得力ある外交を推進することで初めて日本はノーベル平和賞にふさわしい国民国家の地位を確立できるだろう。

菱木 一美 広島修道大学名誉教授

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ひしき・かずよし / Kazuyoshi Hishiki

1936年生まれ。東京外国語大学英米科卒、共同通信社入社。外信部、ソウル、ニューヨーク、ワシントンの各特派員、外信部長、編集局次長、論説副委員長を歴任。1996年に退社後、日本大学客員教授を経て1998年に広島修道大学法学部国際政治学科教授。訳書に『二つのコリア』『ホワイトハウス報道官 レーガン・ブッシュ政権とメディア』『マイク・マンスフィールド 米国の両親を守った政治家の生涯』など。

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